第22話「りょこう」
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...。」
「車中泊って結構きついですよね。」
中からそんな会話が聞こえる。...確かにのびのびと寝れないよな。
「(屋根に登った方が見渡しやすいよな...。よし...。)」
一方、俺は見張りのために屋根に登ろうと、梯子を運んでいた。
「....明かりなんてない...か。」
見渡す限り暗闇。街灯でさえ点いていない。
...辛うじて、月明かりとコンビニ内のランタンの明かりで周囲は見えるけど。
「光の届かない...この住宅街の向こうに、誰か生きていればいいが...。」
母さんもそっちの方にいるはず。
...だけど、一度でも噛まれれば母さんでも死ぬ。その可能性はゼロじゃない。
「...ま、信じるしかないんだよなぁ...。」
仮にも父さんに鍛えられた身。そう簡単に死ぬはずはない。
...俺の場合も、風邪をぶり返したからだし...。
「(...夜空は綺麗だな...。)」
晴れ渡り、星が綺麗な空が、今の現状と無関係で、少し羨ましく思えた。
「...っと、ダメだダメだ。見張り見張りっと。」
幸い、今の所奴らの影は見ない。やはり夜は少ないようだ。
「(...母さん...。)」
...なんだかんだ言って、俺も母さんが心配なんだな...。
...親父?...あの人は戦争に行って普通に帰ってくる人だし...。
「それじゃあ、出発するぞー。」
翌日、俺たちは荷物を纏め、車に乗って再出発した。
ちなみに、今日は美紀と胡桃、圭と悠里を入れ替えての出発だ。
「ふわぁ....。」
「...どうした悠里、眠れなかったのか?」
運転中、隣に座っている悠里があくびをする。
「...それを言うなら、見張りしてた遼君の方が眠れてないでしょ。」
「じゃあ、言い方変える。...疲れが取れてないのか?」
どう見ても悠里は疲労していた。それは胡桃にも分かっていたみたいだ。
「...ええ、正直、ずっと眠りは浅いわ...。」
「どこかで二、三泊しようにも水がもったいないし、かと言って車中泊じゃ、疲れは取れないしなぁ...。どうするか...。」
俺と蘭...後ギリギリ胡桃は体が鍛えられてるから大丈夫だけど、他はか弱いしな...。
皆、結構疲労が溜まっているはずだ。
「...最悪、別の大きな車を探すか...。国道辺りなら乗り捨てられてるだろ。」
「ううん、いいわ。それよりも大学に急ぎましょう?」
...急いで、もし大学がダメだったら危険なんだが...。
「...いや、一時的にでも安全な場所を探して、一度ゆっくり
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