暁 〜小説投稿サイト〜
ぶそうぐらし!
第22話「りょこう」
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
...。」

「車中泊って結構きついですよね。」

  中からそんな会話が聞こえる。...確かにのびのびと寝れないよな。

「(屋根に登った方が見渡しやすいよな...。よし...。)」

  一方、俺は見張りのために屋根に登ろうと、梯子を運んでいた。

「....明かりなんてない...か。」

  見渡す限り暗闇。街灯でさえ点いていない。
  ...辛うじて、月明かりとコンビニ内のランタンの明かりで周囲は見えるけど。

「光の届かない...この住宅街の向こうに、誰か生きていればいいが...。」

  母さんもそっちの方にいるはず。
  ...だけど、一度でも噛まれれば母さんでも死ぬ。その可能性はゼロじゃない。

「...ま、信じるしかないんだよなぁ...。」

  仮にも父さんに鍛えられた身。そう簡単に死ぬはずはない。
  ...俺の場合も、風邪をぶり返したからだし...。

「(...夜空は綺麗だな...。)」

  晴れ渡り、星が綺麗な空が、今の現状と無関係で、少し羨ましく思えた。

「...っと、ダメだダメだ。見張り見張りっと。」

  幸い、今の所奴らの影は見ない。やはり夜は少ないようだ。

「(...母さん...。)」

  ...なんだかんだ言って、俺も母さんが心配なんだな...。

  ...親父?...あの人は戦争に行って普通に帰ってくる人だし...。









「それじゃあ、出発するぞー。」

  翌日、俺たちは荷物を纏め、車に乗って再出発した。
  ちなみに、今日は美紀と胡桃、圭と悠里を入れ替えての出発だ。

「ふわぁ....。」

「...どうした悠里、眠れなかったのか?」

  運転中、隣に座っている悠里があくびをする。

「...それを言うなら、見張りしてた遼君の方が眠れてないでしょ。」

「じゃあ、言い方変える。...疲れが取れてないのか?」

  どう見ても悠里は疲労していた。それは胡桃にも分かっていたみたいだ。

「...ええ、正直、ずっと眠りは浅いわ...。」

「どこかで二、三泊しようにも水がもったいないし、かと言って車中泊じゃ、疲れは取れないしなぁ...。どうするか...。」

  俺と蘭...後ギリギリ胡桃は体が鍛えられてるから大丈夫だけど、他はか弱いしな...。
  皆、結構疲労が溜まっているはずだ。

「...最悪、別の大きな車を探すか...。国道辺りなら乗り捨てられてるだろ。」

「ううん、いいわ。それよりも大学に急ぎましょう?」

  ...急いで、もし大学がダメだったら危険なんだが...。

「...いや、一時的にでも安全な場所を探して、一度ゆっくり
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ