15部分:神輿ヶ嶽の場その五
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あそこにいるでかい男だがな」
赤星「(南郷を指差して)あいつか」
忠信「ああ」
赤星「あいつがどうした」
忠信「いやな、ちょっと縁があってな」
ここで南郷も忠信に気付く。
南郷「あっ」
弁天「どうした、兄貴」
南郷「あいつだ、間違いねえ」
弁天「その忠信って奴か」
南郷「ああ。ここで会ったが百年目だ(彼を睨みながら言う)」
弁天「けどあいつも大親分の下にいるんだろ。まずいぜ」
南郷「なぁに、わしは今は大親分の下にはいねえ。構うことはねえ」
弁天「そうくるかい」
南郷「ああ、やるぜ」
弁天「じゃあわしの相手は隣の浪人だな」
南郷「そっちは任せたぜ」
弁天「おお」
二人は前に出る。忠信と赤星もじりじりと前に出る。
赤星「(前に出ながら)忠信」
忠信「(頷いて)わかっている。わしはあの髷の奴をやる」
赤星「わしは隣の前髪立ちの奴を」
忠信「頼むぞ」
赤星「おお」
四人はそれぞれ刀を抜く。そして対峙する。
弁天「やるつもりのようじゃの」
赤星「そちらもな」
斬り合いをはじめる。両者共互いに譲らず派手に打ち合う。やがて入り乱れて見得を切る。
弁天と赤星は前に出る。そして斬り合ううちに互いの懐の中のものを零してしまう。
弁天「むっ」
赤星「しまった」
二人は斬り合いを止めそれを拾う。だが互いに間違えてしまった。
弁天「ぬぬっ」
赤星「これは」
見れば違うもの。二人は思わず唸る。
赤星「それを渡せ」
弁天「そちらこそ」
両者はいがみ合う。そこへ日本駄右衛門登場。
忠信「あっ、頭」
弁天「どうしてこちらに」
赤星「何っ」
南郷「これで刀納めか」
まず忠信と弁天が頭を下げる。赤星と南郷がそれに続く。
日本駄右衛門は場の中央につく。四人はそれに従う形で頭を下げる。
ここで拍子木。駄右衛門四人を従えて見得。これで幕となる。
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