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lineage もうひとつの物語
冒険者
アリ穴四階 part3
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「どうして!」

つい口に出てしまった言葉。

「どうした?何かあったのか」

ウォレスも焦り問いかける。

「返答がありません。それほどの事態なのかテオが・・・」

「くそっ。前衛にはやりたくなかったがアーニャちゃん、ガンドへ頼む。俺はサミエルへ問いかけよう」

二人で問いかけるが返答がないのは同じなようである。

「サミエルも駄目か。残りはアレン君だが・・・」

「帰還しましょう」

エレナの提案に驚く3人。

「あちらに何かあったにせよ助けを求める動きがあったわけではありません。一度帰還し、アリ穴入り口の安全を確保しあちらの帰還を待つほうがいいかと」

「駄目よ!何かあったのなら助けに行かないと!せめて返事がきてからでも!」

アーニャは必死に反対する。

「落ち着いて。デスナイトが出現したメインランドケイブの話を思い出してちょうだい。帰還できなかったって言ってたでしょ。今回は会話石の邪魔が入ってるのかもしれない」

”それに今回も帰還できない可能性もある・・・”

それを口にすることはせず側道から出てきた小アリにカタナを突き刺しながら続ける。

「ここに帰還スクロールを貼り付けておけばわかるでしょう。」

それでもアーニャは納得しているようにはみえない。

「皆を信じましょう」

ウォレス、イオは頷き、アーニャは渋々それに従うことにした。

「それなら急ぎましょう。精霊がさっきより騒がしいの」

イオの言葉にウォレスがカウントダウンを開始し全員で帰還スクロールの詠唱を始める。

・・・・

・・・

・・



「帰還できない!」

最初に声に出したのはアーニャである。

帰還スクロールの魔力が開放されないのが感じられたのだ。

「邪魔されてる・・・」

「ちっ」

エレナは最悪の考えが当たってしまった事に思わず舌打ちしてしまう。

「前に進むか後方を迎え撃つか・・・」

ウォレスは振り返り後方から迫る脅威に目を向ける。

「ここで迎え撃とう。あちらの状況がわからない以上合流したとして挟み撃ちは避けねばならん」

幸いにも大き目の広場であり、遮蔽物である大きめの岩も数がある。

エレナ、イオは岩の陰から弓を構え、アーニャは岩に完全に隠れ魔法の詠唱に入りウォレスは正面から迎え撃つ体制をとった。

ライトの魔法で照らされた通路の先に影ができる。

「きたぞ」

ウォレスは剣を持つ手に力を入れ予備の盾を構える。

「でかい・・・・」

それは通路を一杯まで塞ぎ、見るものを圧倒する威圧を放ち、立ち尽くすウォレスに近づいていった。
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