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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
9話 一夏戦
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かにも守るものがある。その結果対立することもある。そして傷つけあうことになる。そして何かを失い、得ることになる。

「戦えば必ず誰かが傷つく、傷つきたくないなら逃げていればいい。僕たちは傷つきたくない傷つけたくない、なんて気持ちを持って戦いません」

 何も傷つけず、何も失わずに、何かを守るというのは人の所業ではない。もはや神の領域だ。

「ただ自分にとって大切なものを守るために、得るために戦う。その結果何かを傷つけても失ってもそれを受け入れることしかできません」

「守るために戦うのに、それで傷つくほうが間違っている!」

 がぁん! とロッカーを叩く音が更衣室に響き渡る。

 その言葉に鬼一は気づく。あぁ、そういうことか、と。

 鬼一は、守るために戦えば必ず誰かを犠牲にしなければならない、という。

 一夏は、守るために戦うのに他の誰かを犠牲にするのは間違っている、という。

 犠牲の上に成り立っていることを理解している人間と理解していない人間がそこにいた。

 鬼一はぼんやりと考える、ああ、この人は自分がそこにいることをどれだけの犠牲の上で成り立っていることに気づいていないんだ。

 ロッカーから身を離し、一夏に身を向ける鬼一。

「……一夏さん、じゃあ僕を例に出して教えましょうか? ちなみに一夏さん、なんで僕が手袋をつけているか分かりますか?」

 ISスーツに身を包んだ鬼一だが、両手にはまだ黒くて薄い生地で作られた手袋がついている。

「? 何の話だ?」

 突然話が変わったことに困惑する一夏。
 確かに鬼一の両手には手袋がつけているが、一夏は特に気にもしなかった。

「以前、確か国別対抗戦の予選リーグだったかな。あの時は国別対抗戦だったから注目度も賞金関係もとんでもないことになってたんですよ。そしてその多額な賞金に目をつけたハイエナがいました。あのハイエナは当時の優勝候補を脅して、その家族にまで手を出そうとした。その優勝候補の対戦相手が僕だったんですよ」

 そう言って鬼一は右手で自身の左手の指先を握る。

「よほど必死だったんでしょうね。対戦相手の僕まで脅してきました。おまけに暴力付きでね」

 その言葉に一夏は驚きを隠せなかった。いや、信じられなかった。一夏自身はゲームを、e-Sportsを馬鹿にしていない。だけど、ゲームで人が人を傷つけるなんてことを信じられなかった。

「今の僕なら当時の僕に、逃げてもいい、と教えてあげれたかもしれませんが、当時ボロボロだった僕にとってはe-Sportsやゲームはそれこそ、救いになるかもしれませんでした。それを愚直なまでに信じていました。だからそんなハイエナに汚されるのを、僕は止めようとしました」

 淡々と、感情を込め
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