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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
9話 一夏戦
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 鬼一を迎撃するために雪片弐型を振り下ろす。だが鬼一は既にいない。まるで一夏の一撃を読みきったかのように避けていたからだ。

 混乱する一夏。再度迎撃することもできず、折れた夜叉の一撃を胸部に打ち込まれる。身体が浮き上がる一夏。そしてその致命的な隙を見逃すほど、鬼一は微温い相手でもない。レール砲が一夏の胸部に叩き込まれる。

「がぁっ!?」

 絶対防御が発動し後方に吹き飛ばされる一夏。夜叉の一撃に加えてレール砲の2発をほぼゼロ距離で撃たれたのだ。当然生命を守るために絶対防御が起動する。しかも弾丸は特殊仕様であるため、一夏の右腕を襲った痛みが胸を突き刺す。しかも2発分だ。その痛みは筆舌し難いだろう。

 まさしく神速の踏み込み。このアリーナ内で一体どれだけの人間が鬼一の引き起こした離れ業を理解したのだろうか。一夏だって鬼一を警戒していたのだ。にも関わらず、一夏の反応を凌駕するほどの踏み込み。ただのイグニッションブーストでは起こりえない偉業。

「……スラスター、鬼火のリミッター解除ですって……!?」

 目の前の現実を否定したいのか信じ難い声色で驚愕の言葉を漏らす楯無。その言葉で理解し、自分の体をかばうように抱きしめるセシリア。その行動からどれだけの危険が伴うのか分かってしまったからだ。

 鬼神に搭載されているスラスター、鬼火は12門の大型スラスターから構成される4枚のカスタムウイングと、そして旋回性能、機動性能の大幅な向上を実現するために肩・腰・手・足にそれぞれ取り付けられている合計8つの小型スラスターの総称を鬼火という。そこから生まれる機動性能は半端なものではない。単純な機動性能、鬼火の2枚のカスタムウイングで標準的なISの機動性能と同等なのだ。4枚ということは単純に倍以上、更に小型スラスターを含めればもはや予測不可能な機動性能を獲得できる。

 だが、その膨大な機動力を鬼一が扱うことは出来ない。技術的な問題も少なからずあるが、一番は身体の問題だ。鬼一はまだ14歳であり、しかもIS利用のための身体作りも満足に出来ていないのだ。如何にISの機能である程度負担を軽減出来ていても、下手をすれば大怪我に繋がりかねない。故に、鬼一の成長に沿って少しずつ解除してコントロールしてもらうつもりだった。

 当然、鬼一も開発者も危険性を理解している。だからリミッターをかけていたのだ。オート機能で最低限の機動を制御し、2枚のカスタムウイングと4つの小型スラスター以上はコントロール出来ないようになっていた。

 この段階での機動力では一夏の白式のほうが上回っている。だが、全てのスラスターのリミッターを解除すれば白式の機動力を以てしても食い下がることは許さない。その気になれば最先端軍用ISとも張り合える。それだけの機動力さえあれば、生半
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