暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
9話 一夏戦
[25/32]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
サイルポッド及び羅刹は使用不可。レール砲は残弾4、熱暴走の危険有り。夜叉は刀身が折れ、半分になっている。鬼手は使用可能。『単一使用能力』は条件を満たしていないため使用不可。それに伴い特殊兵装『百鬼』も使用不可。鬼火リミッター解除。全スラスターを強制解放。制御は鬼神に受任。それに伴い身体的負荷は全て無視する。

 敵のシールドエネルギーは残り推定200前後。絶対防御約2回で終了。右腕の無力化には失敗。雪片弐型健在。能力は未だ不明。だが、試合を終わらせることの出来る危険性有り。斬られれば即座に敗北。疲労によるパフォーマンス低下は無し。精神の回復に伴い集中が深まっていると判断。

 己と敵の状態、五感を通じて入ってくる多種多様な莫大な情報量。五感が冴え渡っているせいか、敵の呼吸、筋肉の軋む音まで聞こえてくる。その情報量から脳がフル回転し、様々なバリエーションに富む戦術が脳内を駆け巡る。

 目の前の事象に全てで集中する。胸が躍る。湧き上がる衝動を言葉に乗せる。

 状況は限りなく危険。経験した戦いの中でも指折りの不利な事態。

 だが、それさえも打ち壊して見せよう。それくらいのことができなくては、鬼などと呼ばれることはなかった。

「……負けない」

 ここは終着点ではない。まだオレは歩いている途中なんだ。こんなところで敗れている場合じゃない。

 邪魔だ。立ち塞がる奴はなんであろうとねじ伏せる。お前も所詮、オレの前で屈することしか出来ない。

「オレは負けないっ!!」

 証明してやる。ただ勝つことで証明してみせる。

――――――――――――

「オレは負けないっ!!」

 鬼一の裂帛の気合が込められたその声はアリーナを震わせる。その意志が痛いほど伝わる。絶対に敗北しないという意志が。

 一夏はその気迫に飲み込まれそうになった。今の鬼一から先ほどとは違って、不気味さから来る恐怖が消え去り、寒気と鳥肌を立たせるほどの圧力が全身にのしかかってくる。一夏は自然と右足を1歩下がらせていた。

 それは一夏の直感だった。なにかを考えていたわけではない。ただ、自分のいる場所は鬼一の『間合い』だということに気づいた。

「―――っ!?」

 気がついたら自分の頭があったところを鬼一の夜叉が通り抜けていた。文字通り見えなかった。反応すらも出来なかった。ただ怖かったから全速力で左に飛んでいた。そしたら避けていただけのことだった。

 夜叉を振り抜いた鬼一と視線が交差する。冷たい炎を宿した瞳。全速力で回避した一夏は体勢を立て直して、鬼一に構えようとして一呼吸ついた。その瞬間。

「な―――っ!?」

 呼吸をついた瞬間、既に鬼一が眼前に迫っていた。驚愕している場合じゃない、今は全力で―――!


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ