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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
9話 一夏戦
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がいないって言ってた。俺にしか出来ない方法で、誰も犠牲にせずに家族にしか出来ない方法で千冬姉を守れるかもしれないのに、それをしないことにもあいつは怒ったんだ。鬼一、悪い。お前からしたら口だけの、軽さしかない言葉だったと思う。気付けなかった俺がバカだったよ。

 だけどな、鬼一。

 あの時、俺が言った言葉は、俺なりに本気の、真剣な言葉だったんだ。千冬姉は守る、って。それだけは本物なんだ。それだけは間違いないんだ。お前が俺を安全圏にいる人間だって、そう言って俺の覚悟が軽いものにされたくないんだ。だから俺はお前と戦うよ。
もちろん、誰かを傷つけるなんて嫌だ。もしかしたら時には誰かを傷つけるかもしれない。だけど誰も傷つかない方法をこれからずっと俺は考えるよ。探し続けるよ。絶対に見つけるよ。必ずお前に示して見せる。そして自分が傷つくことを受け入れることはできるさ。千冬姉のことを思い出したら何も怖くない。
 動けなくなった右腕に感覚が蘇る。抵抗するのを諦めかけていた身体に熱が蘇る。空っぽだった心に光が差し込む。シールドエネルギーはもう200もない。あと数回くらいしか攻撃できないな。だけど、大丈夫だ。もう逃げることはない。こんな痛み、俺は怖くない。内側からハンマーで殴るような痛みがずっと続いている。でもこれからの戦いを考えたら些細なものだ。



 だから白式―――。

 
 ―――俺に力を、貸せ。

 
 ギュン、と音を立ててスラスターが俺に呼応する。鬼一が俺に止めを刺すために切り込んでくる。鬼一の何も宿っていない瞳を見ると身体が縮こまりそうになる。

「……ない」

 身体に宿った熱が膨れ上がる。心を照らす光がより一層輝きを増した。右腕で強く拳を握り締める。

「なにも……、ない」

 鬼一が目前にまで距離を詰めていた。このままだと斬られるんだろうな。不思議だ、あれだけ怖かったのに今は。

「なにも怖く、ないっ!」

 迫り来る鬼一の一撃を紙一重で避けて、鬼一の脇をすり抜けながら全力で雪片弐方に向かってスラスターを使う。突然やってきた衝撃に引っ張られる感覚があるけど、それも今は心地いい。

「……!?」

 見えないけど、この試合で初めて鬼一が驚いたような気がした。ピピっ、とセンサーにアラートが表示される。鬼一のレール砲にロックされたことが分かる。あれだけあの攻撃から逃げたかったのに、今は何も感じない。

 ガオン! と空気を切り裂く発射音が耳に飛び込んできた。でも、今は白式が俺に応えてくれる。

 背中のスラスターを静止させ、地面を蹴り上げる。グルリ、と足が上に頭が下にくるように身体を回転させる。鉄棒の逆上がりのように回る。視界には目を見開いて驚いている鬼一が入ってきた。そのまま回ると反対側の
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