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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
9話 一夏戦
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一の姿。まだ試合が始まってからほとんど時間が経ってもいないし、激しい動きもしていない。にも関わらず息が上がっているし、顔にも汗が浮かんでおり、顎を伝って地面に汗が落ちるほどだ。ISの機能でコンディションをある程度整えられるにも関わらず、側から見ていても疲労していることが分かる。実際には見た目以上の疲労が鬼一の身体を襲っているのだろう。

「そうですわね……それにこの戦い方はどうしてもシールドエネルギーを削るのが難しいですし、絶対防御を発動させることが難しい以上、試合時間は長引きますわ」

 鬼一の攻撃が一夏の右腕に焦点が合っている以上、どうしても絶対防御を発動させるのは難しい。絶対防御を発動させることが難しいとシールドエネルギーをまとめて削ることは出来ない。必然的に試合は長引いてしまう。疲労の大きい鬼一には苦しい戦いになってしまう。ならば短期戦を行えばいいのだが、鬼一にそれを行うのはどうしても難しい判断になってしまうのだ。

「白式の正体が分からないまま短期戦を行うのは極めて微妙な判断になるわね。もし一夏くんが開き直って攻めてきたら、回避行動や防御も満足に出来ないまま負ける可能性もあるわ」

 鬼一が絶対防御を起動させて大きくシールドエネルギーを削るにはどうしても、夜叉を利用した近接戦を行う必要がある。今のレール砲では火力が足りないし、ミサイルポッドや羅刹では鬼一の技術を考慮した場合、白式に直撃させるのは困難なのだ。

「だから鬼一さんは自身の優位が確定しているときだけにしか攻撃を仕掛けようとしません。先ほどみたいに織斑さんに『防御や回避の選択をさせる』状況を作り上げて、一方的に自分が攻めることが出来る状態になるまで徹底的にリスクを抑えるつもりなのでしょう」

 鬼一が一夏に対しての最後の対策は『自分が常に攻撃の選択権を獲得し、相手に防御を強制的に迫る』、だ。それを実行するためには一夏の行動を後手に回させる必要が生まれる。そのために攻撃力を削り、思考の迷いを抱かせ、そして利用することで防御の選択をさせる。鬼一は人間が迷いを抱いた時、もしくは、痛みから逃れるために受身になりやすいことを理解している。そして迷いを抱いた時にそれを加速させてやれば人は混乱に陥るのも分かっている。思考を壊してしまえばもう後は詰み将棋だ。

 鬼一は一夏を警戒しつつ、呼吸を整えながら静かに地面に降りる。鬼一の視線の先には雪片弐型を杖にして立ち上がる一夏の姿。叩き落された衝撃が強かったのか首を左右に振って、意識を覚まそうとしている。その姿を確認した鬼一は笑みを深めて鬼火を全開で吹かす。黒い弾丸と化した鬼一は逆手に構えた夜叉で払うように振り抜く。そこにはただ、人を傷つける意志だけが存在した。

「……うっ!?」

 間一髪のところで防御に成功する一夏。ビ
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