9話 一夏戦
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な情報から研究し、対策を構築する。でも一夏くんの情報が不足している以上、相手を観察してから試合を作るしかなかった」
「だけど、鬼一さんはそれを放棄しました」
本来、様々な情報から対策を考え構築するはずの鬼一は少しでも多くの手札を持っていなければならない。多くの手札があればそれだけ選択肢が増え、対策に役立つからだ。
だが今の鬼神には汎用性の高いミサイルポッドとライフルの2種類がなく、ブレードとレール砲しかない。
「つまり彼は一夏くんの土俵で戦うことを選択した。そこには多大のリスクがあるはずなのに」
単純なスペックで劣り、しかも純粋近接型に近接戦を挑むという一見無謀な戦い。
「鬼一さんの戦いはシールドエネルギーをゼロにする戦いではなく、無力化するという戦いですわ。それがブレードとレール砲を活かしたあの戦術ですわね」
「あの様子だと一夏くんの右腕にはかなりの痛みが走ったはずよ。それこそ頭によぎるほどに」
「でもそれが鬼一さんの対策ですわ。まずは危険な攻撃力を削り、痛みを利用して思考に迷いを抱かせること。思考に迷いが生じればパフォーマンスの低下にも繋がります」
「一夏くんはこれからこの試合を通して常に意識しなくてはいけないわ。自分の攻撃力を潰されることをね」
「でも、それは言い換えれば鬼一さんはそれだけ織斑さんの攻撃力を恐れていますわ」
一夏の切り札である『零落白夜』の存在を鬼一は知らない。だから白式そのものの対策ではなく、一夏自体を封じる方向に走ったのだ。利き腕である右腕を破壊するという選択を。
「ぶっちゃけると一夏くんは闇雲に突っ込んで斬りかかるだけでも、鬼一くんにとってはかなり嫌なはずよ。それこそ、負けを覚悟させられるほどにね」
どれだけ対策や研究を構築したところで鬼一はまだISに乗り始めて一夏ほどではないにしても、それでも技術的には十分初心者なのだ。だから、適当に突っ込まれるだけでも対応しきれない可能性は十分にあり得る。
「だから、最初の1回目の迎撃は必ず成功させなければいけなかった。そして彼は成功させたわ。これによって一夏くんに恐怖と迷いを抱かせ、自分はアドバンテージを獲得。一夏くんは仮にまぐれだと考えたとしてもそうは簡単に割り切れない以上、苦しい展開が続くことになるわね。だけど……」
「アドバンテージがあるとはいえ、鬼一さんには強烈なリスクが付き纏っていますわ。この戦い限定ではありますがどうしても大きな弱点があります」
鬼一の戦いはあくまでも『攻撃力と選択肢を削る』戦いだ。そのおかげで鬼一自身は試合の主導権と一定の安全を得ることに成功している。が、
「鬼一くんの体力が持つかどうか……ね」
2人の視線の先には墜落した一夏を眺める鬼
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