9話 一夏戦
[11/32]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に持ち帰る。不自然なくらいに自然な動作。その動作の意味を一夏は気づかなかった。そして一夏は自分の行動がどれだけ愚かだったか、身を持って理解する。
白と黒に染まったモノクロの世界。音も一切遮断された無機質な世界。その中で、自分に距離を詰めてくる獲物が一匹。その事実に鬼一は特になにも感じず、夜叉を振り上げる。
キィン、と甲高い金属音がアリーナ内に響く。
「え?」
その声は一体誰のものだったか。
理解できない、と言わんばかりに表情が崩れる一夏。
鬼一の実力を知っており、本来なら出来るわけがない動きをして驚く楯無とセシリア
白式の性能と鬼神の性能の差を、純粋な出力差で敵うはずがないのに覆され目を見開く千冬と真耶。
雪片と夜叉がぶつかり軍配が上がったのは―――。
―――夜叉であった。
ブレードを弾かれ重心が後ろに移動し、体制が大きく崩された一夏。
鬼神の腰に取り付けられているレール砲が一夏に向けられ、2つの砲門が火を噴く。咄嗟に左手1本で体をかばおうとする一夏。だが、それは意味をなさない。なぜなら、
レール砲の銃口は雪片を持っている一夏の『右腕』であったからだ。
以前の鬼一はそれに気付こうとしなかった。いや、気づいていたがそれから目を逸らし続けた。だが、今の鬼一はそれに目を向け、なんの躊躇いも実感もなく実行する。
そもそも、鬼一からすればなんで『手間暇リスクをかけてシールドエネルギーを0にしなければならないのか』。それが理解不能だった。絶対防御の特性を考えればそんなことを行う必要なんてないからだ。
絶対防御の最大の特徴は『操縦者の死亡を防ぐ』ことだ。操縦者本人の生命に関わる程の火力があれば、この機能が作動しシールドエネルギーを大きく削ることになる。だが現実問題、ほとんどのISは火力の問題、武装の問題、操縦者の技術の問題でそれを何度も実行するのは困難だ。つまり絶対防御を起動させずにシールドエネルギーを0にするのは時間がかかりすぎる。
操縦者の死亡を防ぐ、極端な話、例えば心臓が潰される、頭が潰されるなどの即死に直結するとISが判断すれば起動することになる。もしくはダメージが蓄積されて救命措置が必要になった際に起動する。
鬼一の結論、それは『すぐに生命に関わらない部分、手足の破壊』であった。手足を破壊して攻撃力を奪って自分の安全を確保する、攻撃力を奪ったら思考と体力のどちらかを奪う。攻撃力に思考と体力の内片方を奪ってしまえば、どれだけ機動力や防御力があってももはや達磨同然だ。
そうして相手が抵抗できなくなって降伏するか、もしくはそれからリスクなくシールドエネルギーを0にすればいい。
だが、大きな問題がある。
どうやって破壊するか? 確かに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ