暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
9話 一夏戦
[2/32]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
足としか思えない。

 鬼一は1週間前の一夏がセシリアに言い返した光景を思い出す。

 ―――あの様子と一夏さんの性格だと武装を出し惜しみするのは考えにくい。つまり一夏さんは全力で戦った結果、あの武装しか使えなかったんだ。となると……。

 現在のIS業界は白式のような純粋近接型のISは、少しずつ姿を消しているのが現状だ。ブリュンヒルデ織斑 千冬が剣1本で世界を制したが、同時にそれはブレードを始めとした近接武器の研究・対策を考えられる要素を示したのだ。 
 必然的に世界中で対策が進められた。ブリュンヒルデに使われるレベルの対策を、ブリュンヒルデに届かない純粋近接型には十分通用した。結果、純粋近接型ISを操る操縦者は少しずつ黒星を増やすことになった。それに慌てて新しい近接武器の開発が進められたが大きな成果を出すことはなかった。
 
 なぜか? そもそも大前提を崩すことが出来なかったのだ。『互いの武器が届くほどの距離まで詰めて使う』という前提を崩せない以上、どれだけ優れた武装が開発されようが徹底的に考えられた『距離を詰ませない』という対策が存在する以上、使う機会がないのだ。もしくは極端に減少してしまった。距離を詰ませない、封殺するという意味合いならセシリアのブルーティアーズがそれを体現していると言ってもいい。
 油断から鬼一に弱点を突かれてしまったが、セシリアが本気であれば鬼一の対策など紙切れ同然。距離を詰ませずに封殺していたであろう。

 故に現在のIS事情は大きなタクティカルアドバンテージを獲得するために『遠距離・中距離』で輝く武装の開発が主になっている。もしくは『近距離』を一方的に封殺する兵装の開発が多く、近距離で使われるブレードの類などの武装の開発はほとんど今は進んでいない。

 にも関わらず、白式はそんな時代に真っ向から歯向かったISと言ってもいい。このご時世にブレード1本しかないというのはある種、無謀じみた挑戦ともいえよう。

 だから鬼一は白式には単純なスペックやそのブレードの表面的な要素以外に、とんでもない隠し玉があるのではないかと考えた。

 白式のスペックと計算してもっとも現実的だと考えられる予想が鬼一にはある。それは、

 ―――シールドエネルギーそのものを大きく削ることが出来るブレードなのではないか?

 これが鬼一の中では一番可能性が高かった。
 確かに現在の状況だと、ISは近距離戦にまで発展させるのは極めて難しい。ステージによる広さ制限などを考慮しても、純粋近接型の不利は決して否めない。だが多大な不利があったとしても近づいて切る、ことさえ出来れば今までの状況をひっくり返せる代物であればいい。
 結論としては『切られたら他の近接武装よりもシールドエネルギーを大きく削られるブレード』である。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ