48.金狼
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ガホッ、ゴフッ……ゴホッ………ゴブッ!!」
「な………ガレス!お前、血が……!?」
「ハァ………あの小僧、力任せに見せかけてなんと器用な………先ほどの一撃、『鎧通し』と呼ばれる東の武術じゃ……ゴホッ!……鎧を貫通して、直接衝撃だけ叩き込んできおった……!!」
その日は、ロキ・ファミリアにとって忘れられない日になった。
フィンは無事だったものの、当時レベル5だったティオネとレベル6のガレスが重傷。オーネストを「疫病神だ」と言って捨て置こうと主張するファミリア達もいたが、フィンが「子供を見捨ててのこのこ地上に帰ったら、それこそ笑いものだ」と全員黙らせた。
子供――本当に子供なのだろうかと、アイズは思わざるを得なかった。
確かに倒れ伏して小さな寝息を立てる当時のオーネストは、まだ顔に幼さを残していた。しかし、あの時にロキ・ファミリアの高ランク冒険者相手に一歩も引かず、それどころか二人も戦闘不能に追い込んだ彼は、自分さえも食い殺す化物にしか思えなかった。
今でこそオーネストはロキ・ファミリアとも行動を共にすることがある。
それでも、アイズはまだ戦うオーネストが怖かった。レフィーヤがアズの恐怖を克服した時に羨ましいと感じたほどに、アイズはまだ彼の事で心の整理がついていない。
アイズは、オーネストをどう思うか、今の皆に個人的に聞いて回った。
顔を殴られたティオネは、もうオーネストの事を恨んでいないと言っていた。
「いやぁ、だって気絶して目を覚ましたら団長が看病してくれてて……まぁ顔が腫れてたから見られたくはなかったけど、団長手ずから看病よ?もう幸せが上回っちゃって『ラッキー!』って………あ、あら?アイズ?ちょ、まだ話の途中……」
ベートには………そういえばオーネストと友達だし、聞かなくっていいか。
「よ、ようアイズ!今ヒマか?ちょっと町にでも一緒に………え?何故Uターンする!?俺に用があったんじゃねえのぉっ!?」
レフィーヤは怖かったころのオーネストをあんまり知らないし……後は団長、リヴェリア、ガレスの3人。丁度3人が食堂にいたので、聞いてみた。
「オーネストか。傲慢かもしれないが、私にはあいつが哀れに思える。あそこまで傷つきながらも、決して戦いを手放そうとしない。まだ20にもならない子供が、まるで生きていることを後悔してるように見えるんだ………。オーネストには、親が必要だ。あいつを受け止めてくれる親が……」
「………親に捨てられた子に似とると思ったの。あの爆発的な感情の激しさと、周囲を無視してでも一人で生きようとする姿……不幸な子供じゃ。親に愛を貰えない、しかし時たまこの世に出来てしまう子じゃ……じゃから、誰かが体を張ってオーネストの『大人』になってやらんといかんのだろ
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