第8話
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エリィの自室に向かったロイドだったが、部屋にはエリィはいなく、エリィを探し回り、その途中屋上に来た。
〜夜・特務支援課〜
(………あ……………)
屋上に出たロイドは外を見つめているエリィに気付き
「ロイド……?」
ロイドの気配を感じたエリィは呟いた。
「ああ……どうしてわかったんだ?」
「何となく、かな。何となくだけどあなたが来るんじゃないかってぼんやりと思っていた。」
「そっか……」
エリィに近づいたロイドはエリィの言葉に静かな笑みを浮かべて頷いた後エリィの隣に移動して外の景色を見つめた。
「綺麗だな………あっちに見えるのは……IBCビルか。」
「多分、大陸全土を見回してもこの街ほど夜景が綺麗な所は無いんじゃないかしら。だけど………街の明かりが増えれば増えるほど星の光は見えなくなる………女神の慈愛の証たる、清らかな星の光は………」
ロイドと共に夜景を見つめていたエリィは複雑そうな表情をした。
「………エリィ………」
「昼間のこと……覚えているでしょう?ルバーチェ、黒月、そしてダドリー捜査官が言ったこと。」
―――てめぇらが何をしようがこの街の現実は変わらねぇ………ましてや俺達をどうこうする事など不可能ってことをな。
―――ふふ、あくまで”ビジネス”の競争相手としての話ですよ。クロスベルは自由な競争が法によって保障されている場所………何か問題でもありますか?
―――この、正義が守り切れない街で一定以上の秩序を保ち続けること………殺人などの重犯罪を抑止し、犯罪組織や外国の諜報機関から可能な限り人と社会を守ること……その努力がお前達にわかるのか?
「あれが、この街の闇……クロスベルという自治州の真実よ。帝国と共和国の狭間に生かされ、誇りも持てず、嘘と欺瞞にまみれ……諸外国から集まる富によってかりそめの繁栄と享楽に溺れる………誰もがそれを仕方のない事と諦め、日々の忙しさに追い立てられる………私達はそんな街で生きている。」
「そうか………エリィは……諦めたくないんだな?」
エリィの話を聞いたロイドは重々しく頷いた後尋ねた。
「………………………父と母がいたの。」
「え………」
そして唐突に話し始めたエリィの言葉を聞いたロイドは呆けた。
「ふふっ、こういう言い方すると亡くなっているみたいだけど。二人とも今も元気よ。もっとも離婚して、それぞれ帝国と共和国で暮らしているけど。」
「そうなのか………」
エリィの話に相づちを打ったロイドはエリィの過去を聞くために静かに続きを待った。
「父は元々、共和国の人だったの。この街に
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