第8話
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来て、母と出会い……マクダエル家に入ることで政治家としての道を志した。そして議員になってすぐにこの街の歪んだ現実に気付いた。正義感の強い人だったから何とかしたいと思ったんでしょうね。何年もかけて、粘り強く様々な改革案を打ち出していった。」
「……凄いな。」
エリィの話を聞いていたロイドは口元に笑みを浮かべて感心したが
「ううん……結局、父の改革案は潰された。帝国派、共和国派……どちらから排斥される形で。」
エリィは首を横に振って真剣な表情で答えた。
「信じていた同志に裏切られ、友人を無くし、政敵に嘲られ……祖父もクロスベル市長という中立的立場から父を助けられず………父は……クロスベルそのものに絶望してしまった。そして議員を辞め、妻子と別れてカルバードに帰る道を選択した……」
「あ………」
「母は父を引き止められず………かといって、幼い私を連れて父について行く事もできず………そして離婚は成立して……父はいなくなってしまった。母は父を恨んだみたいだけど……やっぱり愛していたんでしょうね。父のいないクロスベルに住むのが辛くなってしまったみたいで……親戚のいる帝国に身を寄せてしまった。そして私は……祖父に引き取られる事になった。」
「……………………」
「……私が政治の道を志そうと思ったのはその時からよ。別に父の仇を取ろうとかそういうつもりじゃなかった。ただ、納得がいかなかったの。あんなにも幸せだった家族が何で壊れてしまったんだろうって。」
「………………………」
「祖父の助けもあって……私は各地で留学をしながら政治・経済などを学んでいった。でも、勉強すればするほどクロスベルの置かれている状況は困難なものである事に気付いたの。結局は帝国と共和国………この二大国の持っている重力にあらゆる正義と利害は絡め取られ、歪みを余儀なくされてしまう。私は”壁”にぶつかった。」
「………”壁”か。」
「ええ………父もそうだったけど、祖父も感じているであろう”壁”。ねえ、ロイド。クロスベル自治州の政府代表って、誰だか知ってる?」
「それは……マクダエル市長じゃないのか?」
エリィの質問の意図が理解できないロイドは目を丸くして訊ね返した。
「ううん、正確には『クロスベル市の市長』と『自治州議会の議長』の2人よ。つまり今だと、おじいさまと帝国派のハルトマン議長という人がクロスベル政府の共同代表なの。これは自治州法で定められているわ。」
「そうか、不勉強だったな………でも、どうしてそんなややこしい体制になってるんだ?」
「決まっているわ。―――同格の代表が2人いたら政治改革が起こりにくいからよ。」
「そんな………!……いや、でも……確かにそうなるのか……?」
エ
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