暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
GW編
第17話『合宿』
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「ったく、何でこの部活は男ばっかなのよ。女子は私だけじゃん」

「そう思ってお前1人のためだけに、わざわざ2部屋とってるんだ。ありがたく思え」

「はいはいありがとうごさいます〜」


宿の中の廊下で俺らの前を歩きながら、言葉の応酬を続ける部長と副部長。よく飽きないなぁ。


「俺らはこっち。お前はそっちな」

「廊下挟んでるだけじゃん。絶対来ないでよ」

「言われなくても行かねぇよ」


副部長はその後、自分の部屋へと入っていった。

それにしても、部長の意外な一面が見れた。普段は優しそうな部長だったが、副部長相手だと口が悪い、ということ。もしかしたらこっちが素なのかな? なんか秘密が知れて得した気分。

と、思いながら部屋の襖を開けた俺は刹那、感嘆の声を上げた。


「「うわっ! すげぇ!」」


俺と暁君は同時に叫んだ。
なんと目の前には、和室ながらも清廉とした雰囲気が漂う、高級感溢れる部屋が現れたからだ。普通の和室とは比べ物にならない。


「凄いだろ? この宿は隠れスポットみたいなもんなんだ」


部長が簡潔に説明する。
街中にあったら、絶対に有名になるだろうと思われるこの宿。でも山奥にあるからこそ、この凄さがある!という訳か。

てか『一般人が知らないことを知っている』って、何か魔術部っぽい!
俺はそんなことも考え、一人ワクワクしていた。


「これ、畳の上で直に寝ても良さそう」

「この綺麗さだったら確かに・・・」

「何甘いこと言ってんだ。荷物置いたら部活開始するぞ。まだ9時だからな? 特に三浦と暁、お前らは特にしっかりみっちりやるぞ」

「「あ、はい……」」


高揚していた気分が一転、不安がそれとなく募る俺たち。部長、もうちょい楽しくしましょうよ〜。







「はぁっ!」

「おらっ!」


唐突だが、俺は何をしているんだ。
右腕を後ろに引きつけ、左足を前に踏み込むのと同時に右の掌を突き出す。いわゆる正拳突きみたいな動きだ。
これを左右交互に繰り返す。もうかれこれ1時間はやっただろう。

・・・いや、空手か。

おかしくない? 俺らって魔術部じゃないの? 何で空手部みたいなことやってるの?
もしかして、魔術部という名の空手部だったということか。魔術も使えて空手もできるなんて、それは結構強そうだな。

いや、やっぱりおかしい。


・・・と思ってさっき部長に抗議した訳だが、

『こういうのは形から入るんだよ!』

と、強く言われてしまった。否定はできないので、大人しく従うしかなかったのが悔しい。


まぁ並の練習で会得できるとは考えてない
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