GW編
第17話『合宿』
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「そういう問題」
未だに部長と副部長の言い争いが続く。
これに関してはたぶん、部長が正しいと思う。これを聞く限り、今までも副部長はあまり部室に顔も見せなかったようだ。部活動紹介の時ですら、その姿は見ていない訳だし。
「先輩。争ってても時間の無駄ですよ。今日泊まる所とか決まってるんですよね?」
さすがに長引くと思ったのか、2年生の先輩が間に入った。
泊まる場所、か。全然考えてなかった。こんな山だけど、ちゃんとあるよね? まさか野宿とか言わない? 大丈夫?
「もちろん! そこまでバカじゃねぇからな」
「逆にそこまでバカだったら、もう私帰るわよ」
はは…副部長さん、言葉にかなり毒があるなぁ…。
「とりあえずそこまで歩くぞ」
「はーい・・・え?」
え、歩くの!? この山道を!?
もうちょいバスで行けなかったの?! まだバスが通れる位の幅の道だよ?!
「今回の合宿は体力を付ける目的もある。だから運動はできるだけやっていくぞ!」
「えぇ…」
体力をつけるため…。
もしかしてこの理由は、俺たち以外の部員を納得させるためのものだろうか。だって部員さん達はこの強化合宿には全く関係ないもん。魔術使えないから。
「つべこべ言わずに歩くぞ! 大体30分で着く!」
「絶対言うわよ!」
部長と副部長の言い争いはまだまだ続いた。
*
「着いたぞ〜」
「「はぁ…はぁ…」」
「ちょっと、全員バテ過ぎじゃない?」
「ホントホント。運動しないからだぞ」
部長と副部長らの言葉に反応も出来ないほど、疲れ切って地面に座り込んでいる俺ら。そりゃあんだけ山の中歩いてきたんだから疲れるのも当然である。しかも休息無しで。ここ大事。
てか、逆に部長たちがすごい。運動してるとこ見たことないけど、意外と体力あるんだな…。全くバテてない…。
「とりあえず宿に着いたから、早く入るぞ」
部長の言葉に顔を上げると、なんと温泉宿のようなものが目の前にあった。こんな山奥に、旅行雑誌に載りそうなほどの立派な宿が。
「マジっすかこれ…」
「マジマジ」
暁君の感想にも軽く答える部長。あの暁君も目の前の光景には目を疑っていたようだった。
「んじゃ入るぞ」
「早く来なよ」
「「……」」
宿に入っていく部長たちを、座り込みながら見据える俺たち。なんだあのハイペースかつマイペースぶりは。あの2人について行くのは、さぞ大変なことだろう。
宿についてようやく一段落・・・と思いたいところだが、それでもまだまだ変なことが起きるのでは、と勝手に想像する俺だった。
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