GW編
第17話『合宿』
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5月に入って数日。いよいよ明日からGWに入る。
人々は連休とあって、遊びだとか旅行だとかで盛り上がっているが、生憎俺は去年までと変わらずどこにも行くことはないだろう。それでも、割と楽しい日々は送れていた。
きっと今年もそんな連休になるだろうと、俺はそう思っていた。だが・・・
「着いたぞ!」
「「……」」
黒木部長の快活な声と共に、俺たちの沈黙が積もる。
ここはどこだ。今俺は見知らぬどこかの山に来ている。
周りには魔術部のメンバーが全員居た。
なんでも、今回のGWの一部は、ここで皆と過ごすということらしい。つまり“強化合宿”を行うというのだ。
「なぁ黒木。どうして私たちまでついて来なきゃいけない訳? この新入り2人とあんたで行きなさいよ」
不意に毒舌な言葉が部長を襲った。
それを言ったのは、俺よりも背が小さくて声も子供らしい、まるで小学生の様な少女だった。
だがその正体は・・・
「そう言うなよ。お前は魔術部副部長の身なんだから、部活の合宿は全員参加ってわかるだろ?」
「いや関係ない」
なんとこの人こそが、魔術部の中で魔術を使える数少ない人、副部長こと3年生の辻 緋翼さんなのである。
さっき道中のバスの中で、初めて知ったんだけど…。
・・・と、それよりもこんな事態になったのは、2日前に遡る──
*
「合宿…ですか?」
「おう! お前らが魔術をいち早く使えるようにするためにな!」
部長が軽々しく言う。そんな部長を俺は怪訝な顔で見つめる。
俺らのため、という主旨はわかったが、そんな易々と合宿なんかして色々大丈夫なのかな? 予算とか…。
「それにお前らともっと仲良くなりたいし。部員全員で行くから、他の奴ともスキンシップが取れるって寸法よ」
そう補足の説明をする部長。
まぁ確かにまだ会って1ヶ月も経ってないし、そういう機会は必要だけど。
ただ、今この場には俺と暁君、部長以外の人はいない。なので、勝手に決めちゃってないかと少し心配である。
「決まったものは決まったんだ! 明後日からだから準備しとけよ!」
「え、GWじゃないっすか!?」
「だからだよ。こんな休暇は使わなきゃ損だろ。2泊3日だから楽なもんだって」
部長の“自己中”とも呼べる計画に、俺たちは唖然とする他なかった。
*
──とまぁ、そんなこんなで学校からバスで2時間ほどもかかる距離にある山に来ていた。
ちなみに今の時刻は8時だ。いや、出発早すぎ…。
「大体あんたは勝手に決めすぎなの」
「じゃあ部活に出ろよ」
「そういう問題?」
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