Side Story
少女怪盗と仮面の神父 16
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を上がらせる。
(誤魔化した。わざとらしく話を断ち切った。つまり、そういう事? あのマーシャルって人……なんつー失礼な思い込みと要らぬ世話! 私がアーレスト神父と色恋沙汰!? それこそありえない! 男と女にはくっつくか否かしかないとでも……って、そんなトコまでハウィスにそっくりなの? うわー……。女の人の脳って、実は全員見えない糸で繋がってたりしない? どうしてこうも恋話好きばっかりなのよ。しかも、よりによってこの人が相手とか。誰も幸せになれない以前に自分自身が不幸になりそうだし、絶対に嫌だよ私は!)
「? どうかしましたか?」
階段の中程まで来た所で手を離され、何気無く振り返る。
女衆を相手にしている時と同じキラキラな笑顔が、僅かに傾いた。
(……うん。無いわ。私はずっと平凡、平穏な独り身が良い。同性から一方的に妬まれ続ける一生とは無縁でありたい。心の底から、切実に。)
「いいえ。なんでも。……マーシャルさん、砂浜から来て砂浜へ走り去りましたけど、こんな真っ暗なのに何処へ行ったんですかね?」
再び神父に背を向けて階段を上り出すと、彼も一緒に歩き出した。
「船着き場のほうに走って行きましたから、其方から村の入口へ向かったんだと思います。道は通じているのでしょう?」
「そうですけど……わざわざピンヒールで砂浜を通らなくても、この階段を使えば良いのに」
「ネアウィック村に会ってはいけない人が居るので、住宅区を避けているんですよ。彼女も訳有りなんです」
「怒られるとかなんとか言ってた、あれですか」
「ええ。十年程前に身内の方と喧嘩別れしたそうで、私が両者の相談に乗っている最中なのです。どちらも非常に複雑な環境に置かれている為、詳しくは申し上げられませんが」
(複雑な環境、ねぇ。村の中にそんな人居たっけ? アルフィンの家が複雑と言えば複雑だけど……ううん。下種の勘繰りは止そう。無関係な人間に知られて嬉しい相談を、神父にする筈がないし)
「着任したばかりで、いきなり大変そうですね」
「これが私の勤めですから」
「でしたら、ついでに私の相談にも乗っていただけませんか?」
「伺いましょう」
「最近、とある腹黒い策士にまんまと嵌められてしまいまして。不本意な約束まで交わしちゃったんですよね。追い払う方法とか諦めさせる方法、ご存知ありませんか?」
階段を離れて家と家の間に足を止め、顔だけで振り向くと
「それは大変でしたね。ですが、即刻命に関わる問題ではなさそうですし、まずは約束の内容に正面から向き合ってみてはいかがでしょうか? 答えも其処から導き出されるかも知れませんよ」
神父は笑顔のままミートリッテの脇を抜け、十歩先に在るハウィスの家の前で転身した。
「腹黒い策士さんも、貴女を悲しませた
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