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ケンテ
第四章
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「そうなってな」
「それから出来た服なの」
「ああ、そうなんだよ」
「ふうん、じゃあ結構最近の服なのね」
「そうだよ、これがな」
「それは意外ね」
「野口さんは知らなかった服だよ」
 ドグマはここでこの日本人の医者の名前をまた出した。
「あの人は我が国が独立するずっと前に来た人だからな」
「へえ、そうなの」
「ああ、ガーナって国の名前も知らなかっただろうな」
 それ自体をというのだ。
「それこそな」
「そうなのね」
「それでもご先祖様の病気を治そうと必死に働いてくれたらしいがな」
「立派な人だったことは確かなのね」
「結構だらしないところもあったらしいがな」
 酒好きで放蕩癖もあったらしい、野口英世も人間なので欠点もあったのだ。
「素晴らしい人だったらしいな」
「そうなのね、じゃあここにも日本の人が来てるから」
 ガーナ、この国にもだ。
「このケンテ見せてあげようかしら」
「いいんじゃないか?野口さんには見せられなかったがな」 
 それでもとだ、ドグモも娘の言葉に頷いた。
「あの人の国の人達に見てもらうのはいいことだろ」
「そうよね、じゃあ今度見せてくるわね」
「そうしたらいいな、じゃあ次は母さんの服作るからな」
「これと同じ柄?」
「ああ、そうだ」
「じゃあお母さんも喜ぶわね」
「親娘でお揃いな、母さんにもそう言っとけ」
「そうするわね」
 マサカも答えた、そして今度日本人に会ったら彼等にこのケンテを見せようと誓った。野口英世のことは詳しく知らないが彼等は知っていたので。
 それでラウチ、彼女の通っている学校の近くで働いている彼等のところに父が作ってくれた新しいケンテを着て行って見せるとだ、こう彼等に言われた。
「ああ、いい柄のケンテだね」
「よく似合ってるよ、お嬢ちゃんに」
「可愛いよ」
「あれっ、知ってるの?」
 彼等の反応を聞いてだ、マサカはきょとんとして返した。
「知らないって思ってたのに」
「だって俺達もここに仕事で来てるから」
「ガーナのことは勉強してここに来たんだ」
「だからその服のことも知ってるんだ」
「ケンテのこともね」
「そうなの、私は野口さんのことは知らなかったのに」
 それでもとだ、マサカは彼等の言葉を聞いて言った。
「皆は勉強して知ってるのね」
「うん、そうだよ」
「俺達も勉強してきたんだ」
「だからお嬢ちゃんも勉強するんだよ」
「勉強すれば色々わかるわよ」
「私勉強嫌いだから」
 マサカは勉強については日本人達にもこう答えた。
「いいのよ」
「ははは、じゃあいいけれどな」
「お嬢ちゃんが勉強嫌いなら」
「それでいいよ」
「うん、勉強は嫌いだけれど他のことは好きだからいいのよ」
 ケンテを着たまま言う、マサカは父が作
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