第三章
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「心からね」
「それは何よりだ、それじゃあな」
「楽しみによね」
「していろ」
実際にというのだ。
「その時をな、じゃあそれまでな」
「家事をしてスポーツをしてよね」
「待ってろ、あとチョコレートでも食ってろ」
彼等の国ガーナの特産品であるそれをというのだ。
「いいな」
「チョコレート最近高いわね」
「少しましになってないか?」
「そうかしら」
「とにかく待ってろ、いいな」
「ええ、それじゃあね」
待つしかないのでだ、マサカも頷いた。そしてだった。
マサカは実際に新しいケンテが出来るまで待っていた、暫く経つと。
ドグマがまさかに一枚の大きな布を差し出した、そのうえでにやりと笑って言った。
「出来たぞ」
「あっ、遂になのね」
「今回は自信作だ」
「そうね、いい柄ね」
見れば一枚の布だ、幅広のリボンの様に細長く織られている。
柄は黒地で無数の四角い模様が整然と並べられている、その四角の中に草の形で虹色の模様が入っている。
そのケンテを見てだ、マサカは笑顔で言った。
「今回は特にね」
「だから言ったろ、自信作だ」
「虹色の草模様ね」
「そうだ、四角は糸で区分した」
白い糸でそうしている。
「それもいいだろ」
「ええ、確かにね」
「今から着てみるか?」
ドグマは娘に試着を提案した。
「そうしてみるか?」
「ええ、じゃあね」
マサカも父のその言葉に頷く。
「今からね」
「それじゃあな」
「早速ね」
マサカは布を手に取ってだ、早速だった。
左肩から左腕全体に布をかけ右側の余った部分は右腕て外側から持ち上げる。
それから右腕でその持ち上げていた布を勢いよくまた左肩にかけてそれを背中に流す。そこからまた肩までたくしあげ。
そこから整えてだ、頭にバンドを巻いてから言った。
「どうかしら」
「ああ、よく似合ってるぞ」
ドグマはケンテを着終えた娘に笑顔で答えた。
「本当にな」
「よかったわ、似合ってるのならね」
「ケンテはガーナの服だからな」
「いい服よね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「ケンテが出来たのは最近だからな」
ドグマは娘にケンテの歴史も話した。
「比較的な」
「あれっ、そうなの」
「俺が生まれるちょっと前にこの国は独立しただろ」
ガーナ、彼等の国はというのだ。
「そうだろ」
「そうらしいわね、五十年位前に?」
「ああ、祖父さんと祖母さんが若い頃にな」
ドグマの両親がというのだ、今も漁師をしている。
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