第三部
名誉と誇り
さんじゅう
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餓狼団』の中核陣営が認め、重宝しているからに他ならない。
故に、ピピンと呼ばれる小男の言葉を、団長であるガルドは疑うことなく聞き入れる。
「おう、ピピン。取り合えずこんなもんでいいか?」
ニッと、歯を剥き出しにして口角を上げる男に、ピピンは照れ臭そうに鼻の頭を掻きながら「へい」と、短く返した。
誰が悪い訳でもない。
誰に責任がある訳でもない。
誰の所為でもないのだ。
敢えて言うならば、そう……。
間が悪かった。
それだけのことだ。
――刹那、森林の空気が淀む。
ズンッと、まるで押し潰すような重圧が森林を覆う。
ガルドの、フォウの、ピピンの。
この場にいる、生きとし生けるもの全ての。
その本能が警笛を上げる。
「っ……! まさかっ」
押し潰される感覚に、フォウは自然と空を睨めつける。
「ちょ、ちょっ! 遅かったってぇことですかいっ!」
顔面を蒼白にしたピピンが。
「くっかかかか! おいおいおいおいおいぃぃぃ! このタイミングたぁ……なぁ!」
冷や汗を流しながらも、不敵に笑うガルドが。
地震と同じである。
洪水と同じである。
噴火と同じである。
日照りによる飢饉と同じである。
これは、一種の災害だ。
人々は言う。
――大渦災
と。
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