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メン・タンク・マッチ:MTM
初動編
MTM:初動編  第3話「戦備(そなえ)」
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いませ」
店に入ると店員に挨拶される。
天桐は、店内を見渡す。
始めてこういう店に入ったので少し新鮮な気分がした。
店を見ていくといろいろなものがある。
戦車の弾のようなもの、大きな歯車軍人の制服など見たことがないものばかりだ。
だが、いくら店の中を見ても、肝心な戦車の姿がどこにもない。
天桐はレジに居る店員のところに行き。
「す、すいません」
「はい、なんでしょうか?」
「この店に戦車って売っていますか?」
「えーと、今はうちにはありませんが、取り寄せなら出来ますよ」
「そ、そうですか。」
(よし、手に入るかもな。)
「宜しければ、カタログをご覧になりますか?」
「は、はい。お願いします」
そう頼んでカタログを見せてもらうことになった。
「こちらになります」
「ありがとうございます」
店員が持ってきたカタログを開いてみて戦車を見ていった。
中は種類やメーカー、国別などに分けられている。
1つ1つ戦車を見ていくが、次第に天桐の額には汗が溢れ始めた。
(よ、予想はしていたけど。)
その原因は、
(高―――。)
戦車の値段にあった。
(こんなにするの?え?無理だろ。)
どの戦車も想像以上の年段が書かれていた。
(くそ、ネットでちゃんと価格も見とけばよかった。)
それらの金額を見て驚く天桐には無理もないだろ。
それだけの金があれば、1年間は飯を贅沢できる上に、デザートや菓子もいっぱい買えると、天桐は思った。
すると、店員は天桐の様子を見て察したのか。
「まだ安いものもありますけど、」
ページを捲ってくれて店員が説明してくれる。
「こちらのは結構低価格なものとなっています」
そのページの値段を見ると、確かに先程のより安いものや、0が1つ少ないものもあった。
が、それでも十分高かった。
「失礼ですが、ご予算の方はどれくらいで?」
「え?えーと。・・・じゅ、十万ぐらい」
店員に所持金を聞かれ天桐は目を泳がせながら答える。
「・・・・・・。」
店員はただ無言でしかなかった。
自動ドアが開き
「有り難うございました」
天桐は、店の外に出た。
店に入って15分も経たずに店を出た。ここに来ての収穫は、
戦車は凄く高い、自分の手持ちの資金が遥かに少ない、など大会に出る以前の問題を背負っている自覚だった。
「はぁー」
もう深い溜息しか出ない。
「チクショウ。これじゃ、・・・出れないじゃないか」
天桐は俯き似ながら家へと足を動かした。


あれから天桐は、ちょうど店から家まで半分の距離のところを帰る途中だった。
店を出てもう20分は経つが、未だ俯いたまま歩いている。
「・・・どっかに戦車落ちてないかな」
そう呟いていると、3メートル先のゴミ捨て場にあるものが視界に入った。

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