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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十五話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その1)
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ップ少佐
副官:グリーンヒル中尉
ローゼンリッター連隊長:シェーンコップ大佐

特設任務部隊のメンバーだ。短期間で選んだにしては悪くない。副官にグリーンヒル大将のお嬢さんが来たのは、グリーンヒル大将もこの作戦を支持しているという事か……。

それにしても特設任務部隊とは妙な名前だ。当初シトレ本部長は第十三艦隊の名称を付けようとしたのだが、ドーソン司令長官が強硬に反対したそうだ。おかげで特設任務部隊になった。まあ、私としてはやる事をやるだけだ。

「提督、あの情報に間違いは無いのでしょうか?」
「ああ、間違いないだろうね」
私はムライ参謀長の質問に答えた。確かにあの情報の正確さに作戦の成否はかかっている。

「あの情報はフェザーン経由でもたらされたものだ。フェザーンにとってもこれ以上の帝国の勝利は望ましくない。信じて良いだろう」
「なるほど」

私が説明するとパトリチェフ副参謀長が力強く頷いた。周囲の雰囲気も和らぐ。こういう雰囲気を持つ男はなかなか居ない、いい男に巡りあえた。今回の作戦の鍵は三つ有る。一つ目はフェザーンからの情報、二つ目はシェーンコップ大佐、三つ目は……。

上手く噛合えば同盟はイゼルローン要塞を奪取した上に、帝国に大きな損害を与える事が出来るだろう。そしてあの男を失脚させる事が出来るかも知れない。難しい作戦だが可能性は有る……。



■ 帝国暦487年4月23日   イゼルローン要塞 トーマ・フォン・シュトックハウゼン


ここ二日、要塞周辺の通信が撹乱されている。反乱軍が接近しているのは疑問の余地が無い。不思議なのは敵の攻撃が無い事だ。姿さえも確認できない。私もゼークト提督もそのことに頭を悩ませている。

要塞司令部と駐留艦隊司令部の合同会議もこれで三度目だ。不可思議な敵の行動に誰もが苛立ちつつある。敵の姿が確認できないため、オーディンへの連絡も出来ないでいる。いや通信が届くかどうかという問題もあるが……。

「敵が居るのは間違いありません。出撃するべきではないでしょうか」
「要塞から出るなと言われているのを忘れたのか!」
「しかし、敵が見えなくては……」

「見えなくて結構だ。要塞付近に敵が居ないと言う事ではないか。即ち要塞は安全だと言う事だ」
ゼークトが参謀と遣り合っている。彼も辛いだろう。あの命令は艦隊司令部の反感を大きく煽った。

何故自分たちが要塞の宇宙モグラの番犬をしなくてはならないのか? そして私も要塞守備兵を宥めるのに苦労している。要塞守備兵は艦隊乗組員を家でゴロゴロしている駄目親父だと貶している。

何の成果も無い会議が終わると自然二人で話す事になった。
「全く、何のための会議か分からんな」
「そう言われるな、ゼークト提督。言いたいことを言えば
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