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リリなのinボクらの太陽サーガ
インデペンデンス
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、創造主かつオリジナルの上位互換でもあるあの女に勝てば俺の信念に説得力が持たせられる。私怨もあるにはあるが、何より概念的に大きな意味がある。廃棄された失敗作が傲慢な創造主を打ち倒す……ありふれた内容だが、実に良い美談だろう?」

「どこが美談なの……。そんなの……ただの復讐劇だよ!」

「果たしてそうかな? 例えば俺達の知らないクローンが他にもいるとする。そいつがクローンだという事でオリジナル以下の糞みたいな扱いを受けていたら、当然自分がクローンである事に強い劣等感を抱くだろう。しかしこの時、オリジナルや創造主を越えたクローンがいると知れば、そいつの心にどんな影響が起こると思う?」

「そ、それは……」

「偽物が本物を越えられないと誰が決めた? むしろ偽物だからこそ、本物を倒せる。一つでも成功例があれば、それは全てのクローンに対するカンフル剤となる」

ここまで言われて、流石のフェイトもわかってしまった。アースラに身柄を確保される際、プレシアはプロジェクトFATEのデータを悪用されないように破棄したが、しかしプロジェクトFATE自体が消滅した訳ではない。自分達の知らない場所で未だに研究が続けられていて、その研究で生まれたクローンが非道な実験の犠牲になっている可能性は十分にあり得る。そして“クローンでもオリジナルを越えられる”事実が何らかの方法で伝われば、オリジナルのせいで歪められた彼らの心が立ち直るきっかけにもなりえる。

実際フェイトも本局にいる時、クローンという事で邪な眼で見られた事が多々ある。だからクローンが割を喰う世の中は、フェイト自身も否定したいと常々思っていた。そんな矢先にクローンの世間的立場を上げようとするビーティーの信念を聞いて、フェイトはある種の共感を抱いてしまった。

違法研究で苦しむ生命を助けたいと思うのがフェイト。
存在的弱者のクローンを助けたいと思うのがビーティー。

どちらも“救う”という目的は同じ。されど方法に難点があるのもまた同じだった。フェイトの場合は“小”を救い続けていくせいで終わりが見えず、ビーティーの場合は“大”を救える代わりに方法が強引すぎる。しかしフェイトのやり方でしか救えない者もいれば、ビーティーのやり方でしか救えない者もまた存在している。その事実を理解したフェイトは、クローンだからと嫌悪されるよりも深く心が動揺した。

「そりゃあ本来ならオリジナルを倒すべきなんだろうが、人間と精霊とでは明らかに性質が異なる。つまり“元々のオリジナルは既に存在しない”から、もはや相手にする意味がないのさ」

「それはそれで姉さんの価値を否定されてる気がする……。一応、太陽の使者の代弁者という結構すごい精霊に転生したはずなのに、この扱いって……」

「精霊じゃなくて人間のまま蘇ってた
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