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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
2話
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どころか、それが原因で敗北することもある。
 それを理解しているからには一切妥協しない。
 知っている知識なら更に深く理解する。
 知らない知識なら少しでも理解する。
 当然のことだ。
 手元にある5冊の教科書の内1冊に簡潔な書き込みを行い、理解の及ばない、もしくは気になった所は別のノートに纏めて後で一気に調べる。

 自分は周りよりも進んで理解しなければならない。
 自分は世界でただ2人の男性操縦者なのだ。
 今、自分はたくさんの人に注目されている。そんな中で自分が妥協してそんな姿勢を見ている周りの人間たちは、自分が戦っていたゲームの世界も甘く見られてしまう。
 それだけは、何があっても認めるわけには行かない。
 だからどこまでも貪欲になれるし、考え方にシビアになれる。
 ―――おっと、それは初耳だ
 山田先生から補足の説明が入ったので、教科書の隅に書き込みを行い色違いの付箋を貼る。
 ここで、自分にとって未知の知識が頭に入ってくる。
 だが、そこで満足することもない。
 今の説明で気になることができたが質問はその場ではせず、基本的に自力で調べる。
 ゲームのトップグループに入っていた僕は、人に教えることはあっても教えてもらったことは少ない。
 なので自分で調べることで理解を進めるのは至極当然であり、更に普段から調べる癖や考える癖を身につけておくと自分を成長させるための土壌を作ることもできる。
 だが、今の状態ではやや物足りない。
 今の自分は周りから遅れている状態であり、トップどころか平均にも届いていないと思う。
 なので自力で調べるのは当然だが、自力での限界が見えたなら先生にも教えてもらうことにする。
 安易に頼るのは良くないが、自分のキャパシティを超えた努力には意味がない。

「織斑くん、何かわからないところはありますか?」

 一夏さんと隣の女生徒の間で何らかの短いやり取りに気づいた山田先生が質問を投げかける。

「あ、えっと……」

 一夏さんは一度教科書に視線を落とす。
 そういえば一夏さんはISのことが分からないと言っていたが、今なら素直に聞けるチャンスなのでは? というか聞いてくれ。後で僕が教えなくても済むように。

「わからないところがあったら聞いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

 胸を張る山田先生。
 その質問しやすい雰囲気に好感が持てる。
 一夏さん、もしわからない、自身の手に持て余す状態なら素直に教えてもらったほうがいい。
 教師というのは、人に教え、導く存在なのだから。
 それに無知は時として自分だけではなく、周りも傷つけるから。

「先生!」

「はい、織斑くん!」

 やる気を感じさせる声にやる気で満ちた声でそれに応える山田先生。
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