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八神家の養父切嗣
四十九話:変動
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あ、これだけは言っておこう。君がこちらに来てくれるのならば彼らの安全は保障するよ」

 信用などできない胡散臭い約束。しかし状況から見れば従うしか道のない状態。故にフェイトは押し黙り画面に映る子ども達の姿を見る。圧倒的な数の差によって削られていく小さな命。今すぐにでも止めたい。勝ち目がないのならせめて命だけでも救いたい。親として当然の感情がフェイトの胸を締め付ける。

「さあ、今こそ家族で手を取り合う時だ」

 スカリエッティが手を伸ばす。その手を取ればフォワード陣達の命は保障される。何のことはない、ほんの少し手を伸ばせばいいだけの話だ。全てを捨てて限りある大切な者を取ればいいだけだ。しかし―――


「断る」


 フェイトは体に纏わりついた赤い糸ごとその手を振り払った。驚く三人をよそ目にバルディシュの刀身を二本に分ける。そして服装も変わりかつてのソニックフォームよりもより鋭利で薄い極限まで研ぎ澄まされた刃のような装甲に変わる。

「……これは驚いた。まさか君が子どもを見捨てるとはね」
「見捨てたんじゃない。助ける必要がないだけだ」
「どういうことだね?」
「あの子達の目は欠片たりとも―――諦めていなかったからだ!」

 子ども達が諦めなのなら自分が諦めるわけにはいかないとばかりに超高速の踏み込みでスカリエッティに斬りかかる。間一髪のところでトーレがそれを防ぐがその速さは彼女の想定の範囲を容易く超えていた。スピードでは決して負けないと自負していた彼女にとってそれは動揺を生み出すに十分すぎるものだった。

「状況はもう決まっているというのに足掻いて意味があるとでも?」
「私はよく知っているから。あの目は、あの目をしている人は絶対に負けないって」

 思い出すのはなのはの瞳。いかなる状況であろうと、絶望が世界を覆ったとしても彼女だけは決して諦めなかった。だから自分はあの時彼女に負けた。いや、自分でなくともあの状態の彼女に勝てる者などいなかっただろう。そんな彼女と同じ瞳をフォワード陣はしているのだ。ならば負けることはない。

「信頼か、理解できないね。最後に信じられるの自分(・・)以外にないというのに」
「自分以外信じられない人は必ず負けるよ」
「くくく、言い切るね」

 元々険悪だったムードがさらに険悪になり空気が針のように感じられる。この期に及んでも下がろうとしないスカリエッティを守るようにトーレとセッテが前に出てフェイトと交戦を始める。状況は先程と同じ二対一だというのに今度はフェイトが二人を圧倒しだす。その様子に娘達が負けているというのにスカリエッティは笑い出す。

「くははは! 一撃でも当たれば死ぬ装甲で私の最高傑作達を圧倒するか。ああ、これは少し反省しないとね。性能にこだわり過ぎてロマン
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