暁 〜小説投稿サイト〜
宇宙を駆ける狩猟民族がファンタジーに現れました
第三部
名誉と誇り
にじゅうろく
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しながら歩いている。前足の方が長いことから、見た目アパトサウルスよりもブラキオサウルスに近い。
 頭の天辺から足先まで、軽く10メートルはあり、頭から尻尾までなら20メートルはいくだろう。

 というか、ヴァルクムントとかいう人もかなりの大柄であり、地竜と呼ばれた恐竜の背に胡座をかいて座っているが、あれは騎乗と言っていいのか?

「第2騎士隊は精鋭中の精鋭です。得物は短槍と長槍を使い分けての近中距離に特化してます。人数は決して多くはないですが、間違いなく一人一人の力量はスタイン総隊長に一歩及ばない程度といったところです」

 スタインの力量が分からないのよ、私。

「その中でヴァルクムント様は別次元と言えます。スタイン総隊長でもまず間違いなく勝てないでしょう」

 うん、だからね、スタインの力量が全く分からないのね。勝手に自爆したじゃない? 彼。唯一彼の負ったダメージは君の蹴りだからね。

「あの長槍から繰り出される一撃は苛烈の一言。二つ名は“一騎当千”」

 そもそも、あのヴァルクムントが持ってるのは槍じゃない。

 どう見てもあれは偃月刀だ。

 何興奮してるのこの子。

「……鼻息がうるさい」

 私の一言も苛烈だろう。

「私、ヴァルクムント様に憧れているんです」

 聞いちゃいねーよこの(アマ)

 取り合えず偵察はここまでと、私は船に戻ろうと木を跳び移ろうとしたそのときであった。

「おうおう! ヴァルクムントのおっさんまで出刃ってくるたぁ、こいつは穏やかじゃねぇなぁ!」
「ふん。相変わらず礼儀がなってねーじゃねぇか、ガルド」

 スキンヘッドの傭兵はガルドというらしいが、ヴァルクムントと2人、随分とまあ暑苦しい。

「お前んとこも、聞いてるんだろ?」
「まぁよう。にしても、流石の俺も驚きだぜ? あのスタインが死んだなんてぇのはよ」
「馬鹿が……こんな大人数がいるところで馬鹿デケェ声だすな」

 そう言ってヴァルクムントは地竜から降り立つ。

「あぁ、腰いてぇ」

 重りをそのまま砂場に落としたような音。着込んでいる鎧の重さを加味しても、ほとほと人が地面に降り立つような音では決してない。

 スキンヘッドの大男、ガルドとそれよりも更に大きな体格を誇るヴァルクムント。
 ガルドが190センチ強に対し、ヴァルクムントは210センチを超えている。
 まるで小山のような2人が並んで立っている様は壮観の一言。この2人がいれば、大抵のことはどうとでもなってしまうような威厳と風格を持ち、それだけで歴戦の猛者であると分かる。

 ここ数10年、国同士の争いからは離れていたと聞いたが、これはまたとんでもない男共がいたものだ。

混沌獣(ペルトゥール)の討伐
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