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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
1話
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、不満、焦燥、困惑、緊張、嫌悪、軽蔑、嫉妬、怒り、憎悪。

 ここまでくると逆に笑いたくなってくる。人としてまともと言えばまともだけど、感情のベクトルが全部、負の方向にあるというのはそれだけ僕という存在が歓迎されていないということを確認させてくれた。
 一部はそうではない視線があるみたいだが、それを上回るものがあるのだからそれを理解する余裕がない。

 そもそも。

 他人にこんなみっともない視線を向ける暇や余裕があるのなら自分のために時間を使った方が建設的だろうにな。

 登校初日から遅刻なんていうのも流石にイメージが悪いから、早めにモノレールに乗ったのが逆に仇になったか。

 クソ、こんなことなら休日の内にIS学園内の寮にさっさと入ればよかった。保護という名目で研究所にいたのは間違いなくプラスだったけど、これは予想外だった。

 この程度の視線に晒されること、多少は精神的にクルものがあるがそれ自体は別にどうだっていい。今更同年代の視線に振り回されるほどヤワでもないから。だけど、うざったいことこの上ない。

 ―――せっかく初めての『満員電車』というものを味わっていたのに、これはないな。台無し。

 まあ、電車ではなくモノレールだからちょっと違うと思うがそんな大差ないだろう。

 いつだって未知の経験には胸が踊る。良い物だろうが悪いものだろうが。

 知識として満員電車のことは知っていた。日本では決して珍しくない光景なんだろうが人によっては嫌なものというのも聞いている。

 法や倫理に触れるようなものでなければ1度くらいは経験してみたかった。他人に押しつぶされそうになる所謂すし詰めというのも体験してみたかった。

 このモノレールは乗客数に対して明らかに席の数が足りていない。そのせいか生徒同士の肩が接触するほど詰めて乗車している。
 だから本来僕もそれの一部になっているはずだったのだが。

 視線だけならともかく、これはちょっと極端すぎるような気がするな。

 内心苦笑。

 そう、僕から1メートル以上距離を空けていることだ。
 もちろん、僕の両隣は空席のまま。
 距離は空けているが視線は僕に向けられたままであり複数の声が聞こえる。
 確認するまでもなく僕のことを話しているんだろう。

 20000人を超える大観衆の視線の前に立ったことがあるが、その時でもこんな気持ちにはならなかった。
 いや、あの時は高揚感しかなかったけど。今は不快感が先行している。

 しかし、よくもまぁ初対面の人間に対してこんな視線を向けたりすることができるな。いや、違うか。
 誰にも聞こえないほどの小さな声で愚痴る。

 ―――彼女たちは男性である僕をある意味では人として見ていないからか。


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