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衛宮士郎の新たなる道
第25話 湯ぶねの2人
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そして――――。

 『うわぁあああああ!!?』

 士郎は即座に視線を戻し、百代は素っ裸なので胸を腕で覆い隠す様にしながら立ち上がって、そこから緊急離脱した。

 ――――暫くしてタオルを巻いて戻ってきた百代。
 この時間帯が混浴だとは知らなかった士郎にものを言おうとして帰って来たのだ。
 それに対して士郎は知らなかった事とはいえ謝罪をしてきた事と、自分は知っていたにも拘らず忘れていた事を認めて、渋々だが謝罪を受け入れる事にしたのだ。
 そして今、何故か百代と士郎は敷居が外れた男湯と女湯の中心地点で、背中合わせで湯船に浸かっていた。

 「なぁ、川神?」
 「なんだ」
 「やっぱり俺が上がった方が良いんじゃないか?」
 「お前は今日はまだ一回目何だろ?――――それ以上に、何か直にでも上がりたい理由でもあるのか?」
 「・・・・・・・・・」

 百代の言葉に士郎は沈黙する。
 理由が無いからでは無い。図星だからだ。
 用事はないが、理由はある。
 そして図星をついた百代は、理解している上で敢えて聞いていた。
 何故なら百代の声音は酷く面白おかしそうだったからだ。
 つまり士郎を揶揄っていた。

 「解って言ってるだろ」
 「それはそうだな。何せ衛宮が此処まで初心な反応を見せてるんだ、揶揄わなくちゃ勿体無いだろ?」

 揶揄うと言うのは2人の態勢だ。
 バスタオル一枚しか纏っていない自他ともに認められている美少女と、背中合わせとは言えともに湯船に浸かっている。
 この状況で冷静でいられるほど、士郎は枯れていない。
 そんな士郎を百代は背中越しから揶揄っているのだ。
 しかし、本当に嫌なら士郎はとっとと上がればいいのだがそれが出来なかった。
 士郎の両腕は百代の両腕に絡みとられていたのだ。
 本気を出せば外せるはずだが、こんな無防備な美人相手にそんな事をするなど、士郎の中でそんな選択肢は無いのだ。
 そして士郎を揶揄っている百代と言えば、口角を吊り上げて酷く楽しそうな満面の笑顔をしている――――なんてことは無い。
 むしろ羞恥に頬を染めていた。
 仲間達でも同じ女子以外で裸の付き合いなど百代はした事が無く、昔から知っているワケでもない士郎に対しては当然の反応と言える。
 それでも士郎を離さないのは只意固地になっているだけだ。
 此処で自分だけが上がれば負けた気分になる、しかし衛宮を上がらせて今日二回目の自分だけは入り続けるのもなんか違う、と。
 それ故に、2人揃って嬉し恥ずかしの状況になっていた。
 そんな空気の中、百代は自分が絡めて離さないでいる士郎の腕を見た。
 密着しているからわかるが、物凄く凝縮された密度の高い腕だ。
 恐らく士郎は見た目と違い、相当な重量だろう。
 ―
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