8部分:第八章
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第八章
「じゃあここは」
「逃げる用意する?避難」
「って何処に避難するんだよ」
「さあ」
おじさんとおばさんの言葉はやはり何処か呑気である。
「何処に逃げようかしら」
「東北に?」
「けれどそうなったら皆逃げるだろ」
「渋滞するわよね」
「本当に撃って来るかも」
夏希はこう考えた。二人の話の中でだ。
「若しそうなったらどうしようかしら」
彼女もまた危惧を感じていた。そして後日水族館での撮影の仕事があった。そこで様々な魚や海の動物を後ろにして仕事をしているとだ。
その時は河の動物のコーナーにいた。するとであった。
後ろの水槽にいた鯰がだ。不意に騒ぎだしたのである。
「鯰が!?」
「えっ、ちょっとこれって」
「そうだよな」
撮影のスタッフ達もそれを見て驚いた顔になる。
「地震!?」
「地震か!?」
「まさか本当に」
夏希もそれを見て真っ青な顔になる。そしてそれだけではなかった。
不意にマネージャーの携帯が慌しく鳴りだした。それに出るとだった。
「ミ、ミサイル!?」
「ちょっとミサイルって」
「今度は何なんですか!?」
「あのテロ支援国家がミサイルを撃った!」
マネージャーは思いきり叫んだ。
「東京に向けて!」
「えっ、ミサイルも!?」
「この東京にですか!?」
「嘘でしょ!?」
「嘘でこんなこと言いますか!」
マネージャーは周りにこう叫んだ。見れば一同以外の客も皆かなり慌てている。世界が揺れだしたのである。
「こんなことって」
「絶対に」
「しかも」
客達の携帯もそれぞれ鳴りだしていた。そして。
「核ミサイルだ!」
「核ミサイルが来るぞ!」
「本当にだ!」
「嘘・・・・・・ってちょっと」
夏希も呆然となっている。しかしここで彼女はふと気付いたのである。
「ちょっと待ってよ」
そうだったのだ。彼女が思ったことが必ず現実になっているのだ。上京もモデルになったこともそして水着の仕事もだ。あの国のことも地震のこともだ。何もかもが現実のことになっていることに気付いたのである。
そのことに気付いてどうするか。そのことを考えたがどうしようもない。今はただ狼狽するばかりだった。それしかできなかった。
「そんな、こんな・・・・・・」
「逃げろ!」
「避難だ!」
周りもパニック状態だった。
「早く何処かに!」
「けれど何処にだ!?」
「千佳だ!」
「ここにはそんなものないぞ!」
誰もが完全に我をなくしていた。しかしである。
突如として放送が入りだ。こう言ってきたのである。
「只今小笠原沖で地震が起きました」
「あれっ!?」
「そこか?」
「津波の影響は微々たるものです。そして」
放送はさらに続く。皆瞬く間に落ち着きを
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