95話 誓
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なんだろ?親父さんや母親や、この兵士や……他にも故郷にはたくさん『大切』があるんだろ?」
夜の闇の中であろうとキラキラしたククールの本物の銀髪は僅かな光にでも輝いて綺麗だった。その中でアイスブルーの目が、真剣な光を帯びて、ぼんやり浮かぶ。
「俺にはそうやって待っててくれるような大切な人ってのはもういない。だけどこの旅で俺は守ってやりたい大切な人が」
「……ゼシカへの想いは私に言うべきじゃないから。そういうのは本人に」
「待て。違う」
「……?!ごめん!そんなにエルトと友情深めて男の熱い関係になってるとは思ってなかった!」
「違う!!」
じゃあ何?ヤンガス……と?うーん、あんまり話してるの見たことないから、自意識過剰じゃなければ私?……ベホマの唱えすぎで情が?ククールのことこれから仲間じゃなくて大切な友達って認識してもいいの……?
「……あ、あぁ。とりあえずは、友達で」
「そっかぁ……友達かぁ……二人目、だよ。ありがとうククール」
「……感謝することじゃないぜ?」
暗いからちょっと俯いたククールの表情は分からない。でも、声はちょっと嬉しそうな、涙目のような……?コミュニケーション力の塊みたいなククールなのに友達いなかったの?そんなに嬉しいの?私も嬉しいよ。
「……話は逸れちまったが。トウカが旅を続けるなら俺も着いていったっていいだろ?」
「生存率がこれで十割!」
「そうだな。死んだって生き返らせてやるよ」
「頼もしすぎる」
ククールがぽんぽんと私の頭を撫でた。そういえば、年上だったね。妹にでもするかのように優しく撫でて、そして白みかけている外をちらりと見て。
「そろそろ帰らねぇか?」
「そうだね!」
明日から、今度は宛もなくさ迷うしかない。それなら体力の温存は大事だよね!
ククールの差し出した手を潰さないように今度は私からそっと掴む。流石に握り潰すほど力の加減ができないわけじゃあないからね。
サザンビークにひとっ飛びして、宿屋の扉をそっと潜った。
すると女将さんが怪訝そうに私たちを見る。こんな時間に起きてるなんて、大変だなぁ。
「おやおやおかえりかい?さっき仲間の長い杖を持った女の子が出ていったけどあんたたちも出かけていたんだねぇ」
……え?ゼシカが?
・・・・
・・・
・・
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