第02話:落第騎士vs紅蓮の皇女
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を差し引いても意外じゃないかい?」
「何が――いや、聞くまでも無いな」
「うん。あの《紅蓮の皇女》さまが――」
まるで子供扱いだ。
「こんのッ!(なにこれ、全部受け流されてる)」
ステラが一輝へ打ち込む全ての剛剣が、逸らされ、力を上手く受け流されている。
更に――
「せあっ!」
「ぐっ!」
ステラの隙を突いて放たれる一輝の袈裟。それは先程までステラが振るっていた太刀筋と酷似していた。
「何で私の剣が…!?」
「生憎と指導者に恵まれなくてね。おかげさまで"見稽古"のレベルは相当だと自負しているよ!」
『模倣剣技』。これぞ一輝が習得した見稽古の終着点。一輝はある程度観察すれば大抵の流派の太刀筋を覚え、その身で再現できるのだ。
「(だったら、フェイントで!)」
そして、ステラが薙ぎに見せかけて太刀筋を変更、切上を仕掛ける。だが――
「太刀筋が寝ぼけているよ」
不慣れなフェイントに走ったせいで持ち前のパワーが伴っていない一撃は、易々と一輝が柄で受け止めてしまった。
「変則ガードッ!?」
「焦ったね?直ぐに軽々と勝ちに走って――。小手先の逃げの一撃なんて君のスタイルじゃないだろ。この太刀筋は君の剣じゃない。この一撃は致命的だ!」
そして、ステラの妃竜の罪剣が打ち払われ、そのままがら空きのステラに一輝が《陰鉄》を振り下ろし――
「おっと、これは参ったねッ」
《陰鉄》の切先はステラからおよそ数ミリといったところで、魔力の壁に阻まれていた。
一輝はすぐさまステラの間合いから離脱し、油断なく構え直す。
「あーあ、かっこわるいなあ...」
そして、心底悔やむ様にステラが呟く。彼女の身体の周りには、彼女の魔力が可視化されるほど高密度で展開されている。妃竜の羽衣。彼女が誇る炎の鎧だ。
「…どうやら、僕の攻撃力では君を傷つけられないと分かってたみたいだね」
「ええ。でも、どうせなら貴方には剣で勝ちたかったわ。認めてあげる。確かに私の勝因は、魔力量の差だったわ。だから――」
最大の敬意を以て、最大の技で決着を。
「蒼天を穿て、煉獄の焔!」
瞬く間にステラの周りの温度が急上昇し、灼熱の焔が形作られる。そして形成される光り輝く光剣のエネルギー量は、明らかに一輝が防御できる範疇を超えている。
そんなステラの決め技を前に、一輝は驚くほどに冷静だった。
ステラの魔力の前には通常攻撃はノーダメージ。
ならば、才能がない奴が才能がある相手に勝つにはどうしたらいいか。
答えは一
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