第五話 私の存在意義
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に尊敬します。」
「榛名さんだって同じくらい礼儀正しくて謙虚ですよ。」
「そんな・・・私なんかまだまだです・・・・。」
榛名は頬を染めたが、不意に顔つきを改めると紀伊に言った。
「紀伊さん、すみませんが、提督への報告、一緒に来ていただけませんか?」
「私が、ですか?構いませんが・・・・私なんかでいいのですか?」
「構いません。ご一緒に来てくださると、榛名は嬉しいです。」
榛名はにっこりした。
「わかりました。」
「では、由良さん、申し訳ありませんが、後をお任せしてよろしいですか?」
榛名の言葉に由良はうなずいた。
「はい。綾波さんを探して、3人で入きょしています。ドックにいますね。」
「ええ。」
由良は榛名と紀伊に挨拶すると、不知火を伴って綾波を探しに出かけていった。
「私たちも行きましょうか。」
榛名の言葉に紀伊もうなずく。二人は埠頭から発着所に入港して、港に上がった。
「瑞鶴さんは大丈夫でしょうか?」
「瑞鶴さんに大怪我をさせてしまったこと、榛名はすごく胸が痛みます。でも・・・鎮守府にはまだ高速修復剤の備蓄はありますし、それにドックの施設は横須賀鎮守府に負けないくらいしっかりしています。どんなケガだって大丈夫。必ずよくなるんです。」
榛名の言葉に紀伊は安堵した。
司令部のある建物は発着所から少し奥まったところにあったが、司令部へ通じる道が通る十字路に差し掛かると、榛名は足を止めた。
「少し、回り道をしてもよろしいですか?」
榛名が紀伊に尋ねた。
「え?ええ・・・。構いませんが。」
「ちょっとお見せしたいものがあるんです。こっちです。」
榛名は直進して土手のほうに向かった。紀伊は不思議に思いながら黙ってついていく。
「こっちです。少し足元に気を付けてくださいね。」
「はい。」
紀伊は榛名に促されて、簡略な作りの木の階段を上っていった。
「わぁ・・!!」
上り詰めた瞬間紀伊は思わず声を上げていた。広く緩やかな川を挟んだ土手の両側には多くの桜の木が植わっており、花々が満開に咲きほこっていた。時折風に桜の花びらがさあっと舞い上がり、さながら吹雪のように二人に降りかかる。それでもなお木々には数えきれないほどの花が咲きほこっている。紀伊の感嘆の声に榛名は振り向いてにっこりした。頬が紅潮している。
「すごいですよね!ここは呉鎮守府の隠れた名所って言われているんです!こっち側は鎮守府関係者しか入れませんので、毎年艦娘だけの貸切でお花見ができるんですよ。」
「お花見ですか。いいなぁ。」
紀伊は腕を伸ばし、満開の桜の香りが混じった清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。戦闘で高揚していた気分が落ち着き、穏やかになる。ここで出来るなら一休みして眠りたいくらいだ。
「お花見もただのお花見じゃありません。少し司令部側
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