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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十一話 新体制
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タイン大将は特に反対しなかった。ちょっと小首をかしげて言葉を続ける。

「ミュラー提督たちにはこの際、分艦隊司令官として参加して貰いますか?」
「いや、それには及ばない」
「そうですか……。では出征まで訓練等で時間がかかりますね」
「うむ」

ミュラー提督たちの力を借りる事はヴァレンシュタイン大将の力を借りる事になるだろう。それを思えば新たに艦隊を編制するしかない。ヴァレンシュタイン大将の提案を受ける事は出来なかった。

ヴァレンシュタイン大将がそれに気付かなかったとは思えない。だが大将はそのことよりも出征までの時間を気にしたようだ。何か気になることでも有るのだろうか?

ラインハルト様は御自分の実力をヴァレンシュタイン大将を始め各艦隊司令官達に証明しなければならない。この出兵で勝ち、元帥に昇進すれば誰もがラインハルト様の実力を認めるだろう。そうなれば各艦隊司令官達もヴァレンシュタイン大将ではなくラインハルト様に心を傾けてくれるかもしれない。

「小官としては司令長官のお考えに異論はありません」
「うむ」
「艦隊の編制はいかがなさいます。ご自身でなさりますか?」
「そうしよう」
「判りました」


ヴァレンシュタイン大将は、その後二言、三言話すと敬礼をし、部屋を出て行った。


■ 帝国暦487年2月1日   オーディン 宇宙艦隊司令部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン


司令長官室を出ると副司令長官室へ向かった。着任の挨拶だけではすまなかったな。まあ決めたいことは直ぐ決める、そんな感じだった。しかし、俺が艦隊の指揮権を欲しがらなかったからってそんなに安心するなよな。見ていてあんまり面白いもんじゃない。

艦隊の指揮権に拘らなかったのは分割すれば影響力は半分の九個艦隊にしか及ばない。しかし分割しなければ十八個艦隊全部に及ぶ。それだけのことだ。それにしてもケスラーを総参謀長にしないとはね。

あの二人、やはり歪みが出来たか。ティアマトの会戦が響いているようだ。しかしあれは止むを得なかった。参謀長は司令官の女房役だが、だからと言って全てを司令官に話せるわけじゃない。

そのあたりを理解してくれんと参謀長は結構辛い立場になる。まああの二人は例の襲撃事件もある。これ以上は無理だろうな。しかし総参謀長はどうするか? オーベルシュタイン? 冗談じゃないな、あんなのが来たら余計こじれる。

イゼルローン要塞に警告を出す必要がある。いずれヤン・ウェンリーがイゼルローン要塞攻略に動く。今から手を打っておこう。イゼルローンが落ちなければオーベルシュタインがこちらに来る事も無い。

ラインハルトはかなり焦っているな。自分の立場を強化する事に夢中になっている。悪い方向に行かなければ良いんだがな。お手並み拝見、そ
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