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思わぬ奇病
4部分:第四章
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ドラマのやつだ。観るかい?」
「ドラマ?」
「そうさ。ほら、あの魔女が奥さんになったってやつだよ」
「地球にあった頃のをリメイクしたあれね」
「面白いだろ、あれ」
「そうね。確かに」
「それでも観ていよう」
 こう提案するのであった。
「それでいいな」
「ええ、あのドラマなら」
「よし、じゃあ決まりだ」
 妻が乗ってきたのでまずは一安心だった。内心胸を撫で下ろしながらDVDをかけるのだった。早速箒で乗った魔女の服の美女がホノグラフで出て来た。
 二人でそれを観て気を晴らす。そうして今はこの話題から離れた。その間にこの奇病はシリウス中で次々と発生していった。やがて皆あることに気付いたのだった。
「面白いことがわかってきたな」
「今度は何なの?」
 二人は今は一緒に外に出ていた。見れば格好はそれぞれジャージだ。お揃いの青いジャージである。二人でランニングをしている。家が立ち並ぶ中を夫婦揃ってである。
「あの病気だけれどな」
「ええ」
 クリスティは走りながら夫の言葉に応える。夫もしっかりと妻の横についてきている。
「あまり健康でない人間がかかってるな」
「あまり健康でない人間に?」
「健康な人間は全くかかっていない」
 こう妻に述べるのだった。走りながら。
「全くな」
「全くなの」
「かかるのは痛風か糖尿病持ちかそれの予備軍」
「確かに限られてるわね」
「そうだろ?おかしな話だよな」
「いえ、そうは思わないわ」
 だがクリスティはここまで聞いても至って平気な顔で答えたのだった。顔は進行方向である正面をじっと見たままだ。額の汗が爽やかである。

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