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思わぬ奇病
2部分:第二章
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第二章

「嫌だな、どうも」
「貴方日本酒嫌いだったわね」
「飲めない」
 その曇った顔ではっきりと答えてみせた。
「とてもな。だから」
「じゃあ白ワインね」
「肉の時は赤だな」
「そうよ。それはわかるわね」
「わかったよ。やれやれ」
 朝から大きな溜息をつくのだった。
「仕方ないか。これも」
「我慢するのね。まあとりあえずはそうして様子を見ましょう」
「診察も受けてか」
「そういうことよ。最近検査とか受けてないでしょ」
「面倒臭いからな」
 これを理由として行っていないのだった。実にいい加減である。しかしこうした人間が多いのもまた昔からである。面倒くさがりは何時でも何処でもいるものだ。
「どうしてもな」
「けれど今は駄目よ」
 また妻の顔が厳しいものになった。
「わかったわね」
「ああ」
「これからお料理も変えていくから」
「乳酸の溜まらないものか」
「そうよ。まずはそれ」
 声もまたさらに厳しいものになっていた。
「鶏肉やお魚もね」
「何かしみったれた食べ物だな」
「そうかしら」
「そうかしらって。それはそれでいいものよ」 
 厳しいがしっかりとした言葉であった。
「鶏肉やお魚もね」
「暫くソーセージやハムともお別れか」
「鶏肉やお魚でもあるじゃない」
「味が違うんだよ」
 憮然とした顔で妻に答えた。
「それも全然な」
「贅沢言わないの。本当に痛風になったら洒落にならないわよ」
「ああ、わかったよ」
 憮然とした顔でまた妻に答えた。
「それじゃあな。それでな」
「ええ。じゃあ今日からね」
「わかった」
 遂にジョンも折れた。そうしてその日からビールからワインになり食卓も実にヘルシーなものになった。野菜や豆腐が多くなり肉も鶏肉、そして魚が主体になった。それは外食でも同じであった。
「チキンカツか」
「そうよ。それとチキンバーグ」
 レストランでクリスティが注文したのはそれだった。それと海草のサラダに野菜のスープであった。麦芽パンにデザートはアップルパイだった。
「どうかしら」
「外に出ても同じか」
「お弁当もそうしてるじゃない」
「ああ」
 塞ぎ込んだような顔で妻に応えた。
「あの和食のあれか」
「そうよ。おかげで体調がいいでしょ」
「そういえばそうかな」
 あまり本意ではないがそれに頷くのだった。
「それはな」
「痛風だけじゃなくて糖尿病にも気をつけないとね」
「それもか?」
「そうよ。ただでさえこの星って痛風に糖尿病は多いじゃない」
「そうだな」
 これはジョンもよく知っていた。こうした話は事あるごとに新聞やインターネット、テレビに出るものだからだ。どうしても目に入らずにはいられないものなのだ。
「だったらついでにね。注意しま
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