暁 〜小説投稿サイト〜
思わぬ奇病
1部分:第一章
[2/2]

[9] 最初 [2]次話
これから一緒に食べるのは」
「チーズ用意しておくわ」
 やはりこれが出て来た。ワインと言えば昔からチーズである。これはそれこそ二十世紀、人類が地球にあった頃から変わらない。遠く離れたこのシリウスにおいてもだ。
「あとは和風でお豆腐」
「お豆腐!?」
「これは凄く身体にいいのは知ってるわよね」
「ああ、それはな」
 この時代豆腐は皆が食べる食べ物になっていた。その栄養の高さと健康へのよさもまた誰もが知っているものになっていたのだ。
「知ってるけれどワインにお豆腐!?」
「何言ってるのよ、ジョン」
 妻はここで彼の名前を笑って言ってきた。やはり結婚したての少女の頃の微笑みそのままだ。テーブルの向かい側に座ってトーストを手で千切る動作も何処か少女らしい。
「日本人は白ワインでお豆腐を飲んだりするのよ」
「白ワインですか」
「お魚はそうじゃない」
 妻はここで魚も話に出してきた。
「ムニエルとかそうでしょ?あとフライも」
「ああ」
 これは彼もよく知っていた。実はビールでそういったものを楽しんできたのだ。ただワインが好きでないのでそうした食べ方をしていなかっただけだ。
「それと同じなのよ」
「じゃああれか」
 ここでジョンはあることに気付いたのだった。彼もまたトーストを食べながら言うのである。
「お刺身とか天麩羅も白ワインになるのか」
「そうよ。牡蠣料理もね」
「日本人は変わってるな」
「あくまでワイン派だけよ」
 こう断る妻のクリスティであった。
「日本酒がいい人はやっぱりそれよ」
「あれは少し」
 日本酒が話に出るとジョンの顔が雲った。

[9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ