第8話 まきりんぱな
[9/9]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
そんなのあなたには関係ないでしょ」
「確かに関係ない」
即答だった。自分でもびっくりするくらいの即答だった。
「はぁ?あなた、自分で何を言ってるのかわかってるの?」
「あぁ....わかってる」
「じゃあどうして.....」
「あんなに楽しそうに歌ってピアノ弾いて..それがもう終わりって言われてはいそうですかって言えるわけない。医学部目指してるんだっけ?それが自分でやりたい夢かなんてそんなのは本人にしかわからない。でも俺から見るとその夢は君にとって本当にやりたいことなんだと言っているようには思えないんだよ。さっきだって医学部の話をする君の目はとてもやりたいという目ではなかったよ......どうなんだい?」
「..........」
暫しの沈黙。そして、西木野さんは口を開く。
「それよりあなた、アイドル。やりたいんでしょ?」
「えっ??えっ?」
俺の問に答えず話を切り替えて小泉さんに話をする。
急な話題転換に小泉さんは俺のことをちらちら見る。答えなくていいのですか?と言いたいのだろう。俺は頷き、小泉さんに話をさせる。
西木野さんにはまだ考える時間が必要だろう。きっと頭で理解できていても心では葛藤しているだろうし。それにアイドルをやることを強制させても意味はない。自分が本気でやりたいと思わないとダメなんだ。
「この前のライブのとき、夢中で見てたじゃない」
「え?西木野さんもいたんだ」
「いや、私はたまたま通りかかっただけだから」
あんなところを『たまたま』通りかかるわけ無いだろ
コイツはほんとに.....素直じゃないんだから
「やりたいならやればいいじゃない。そしたら....少しは応援...してあげるから」
『やりたいならやればいいじゃない』
これはきっと自分でも無意識に言ったんだろう。言い聞かせて素直になりたいんだろう。
この一言で俺は確信した。
西木野真姫は.....音楽が大好きなんだ.....と。
「うん、ありがとう」
小泉さんはニカッと笑った。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ