第9話 何から始める?
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
もじゃだね〜!」
後ろでは南先輩が、前では高坂先輩が髪をもみくちゃに弄り回していて、正直頭が重い。まるで頭に鉛を乗せているような....
このシチュエーションは健全な男子からすると嬉しいものではあるが、せっかく今朝一生懸命整えた髪の毛を弄り回されてしまうのはいい気分なものではない。
「ん〜とぉ...うん!いい感じにまとまったよ!ほら、鏡をどうぞ」
南先輩は自分のカバンから折り畳み式の鏡を二枚取り出し、僕の前と後ろで反射を利用して後ろ頭の髪を見せる。
確かにあまりうまく纏まらなかったのにしっかりふわふわ感を出している。
南先輩すごいなぁ、と心底感心した。
「あ、ありがとうございます。すごいですね南先輩、こういうの得意なんですか?」
「いえいえ♪私は服飾とか、そういうのに興味あるから一緒に勉強してるんだぁ」
そう言いながら後ろからぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。
柔らかくて温かい”何か”が僕の背中でふにゅふにゅと形を変えてるような....
すごく恥ずかしいんですけど.......
「ことり!穂乃果!殿方に近づきすぎですよ。彼も困ってるようではありませんか」
凛とした綺麗な声で南先輩に注意するのは長い髪の女の子。
「あはは、海未ちゃんもこっち来て春人君とお話ししようよぉ〜」
「そんなことより私たちは何故今日集まったのか思い出してください!時間がないのですよ!」
「はっ!そうだった!」
そして高坂先輩は何かを思い出したかのように今度は”海未”先輩の元へ行き、
「さっきから構ってもらえなくていじけているこの子は私のもう一人の幼馴染の園田海未ちゃんだよ!海未ちゃんの家は道場を経営していて剣道とか弓道とか得意なんだ!」
「私が言いたいのは私の紹介をしてほしいことではありませんし、いじけてなんかいません!!」
「え?海未ちゃん違うの?」
確かに高坂先輩の言う通り園田先輩は”そういうの”が得意そうに見える。
ずっと敬語を使っているし、立ち振る舞いも他の二人と比べて凄く大人っぽく見える。
道場を経営していると聞くと、親が厳しいイメージが強くて躾とかされてきたんだろうなぁ、と。逆に厳しく育てられてきた分甘え方とか苦手そう。先輩の性格がなんとなくわかった気がする。
「そんなことより”これから”のことについて話さなければいけないんでしょう!」
「お、怒らないでよ海未ちゃん.....」
「海未ちゃん、そんなことより自己紹介、ちゃんとしなきゃ...」
「ううっ......どうして私が」
などと園田先輩はブツブツ言いながら僕に向き直る。
園田先
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ