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101番目の舶ィ語
第十三話。デート・ア・キリカ
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…ちょっぴりハードル高いよね、あ、あは……」

焦ってる俺の様子を見て、キリカは起き上がろうとする。

「ごめん、言ってみたかっただけ。えへへ」

そんなキリカの態度を見ていたら、俺も覚悟を決めるしかない。

「ごめんよ、キリカ」

俺はキリカに一言謝ってから。
彼女のその体をお姫様抱っこで抱える!

「ふわっ?? き、キンジ君っ??」

「『お布団がある部屋で休みたい』……その依頼、確かに引き受けたよ!
でも、キリカ、君とだから入るんだよ? 少し休んだら一緒に帰るからね!」

「う、うん……」

「じゃあ、キリカ……入るぞ!」

そして、俺はキリカをお姫様抱っこしたまま、建物の入り口に入って行った。
まるでお城のような外見の、その宿泊施設の中に。

「キンジ君……」

キリカが嬉しそうに囁くが、何でそんなに嬉しそうな声を出していたのかは最後まで解らないままだった。




我ながら……我ながら本当に不幸だ。
俺はそう痛感していた。
キリカをお姫様抱っこしたまま、建物に入った俺は受付前の機械で部屋を選んでボタンを押し、従業員の顔が見えないように出来てる受付でおばちゃん(と思われる人物)から鍵を渡されたのだが、『若いのに無理させるんじゃないよ』などと言われ、意味が解らないまま、部屋の扉を開けたのだ。
部屋の中を見て驚いた。
部屋の中がとんでもなく、豪華で、可愛らしく、ベッドも広いからな。まるで理子の部屋にいるような気分になった俺はヒステリア性の血流が強くなるのを感じてしまった。
はっきりいって、まったくと言っていいほど落ち着かない。
なぜなら……。

シャワ〜……。

室内にあるバスルームからシャワーの音が聞こえてくるからだ。
マズイ、このままだと状況的にマズイ。
これ以上ここにいたら危険だ。
俺の身がもたないぞ。精神や理性も含めて。
だが、逃げようにも逃げられない。
なぜなら、ヒステリアモードの俺はキリカと約束したからな。
『一緒にいる』と。
武偵憲章第2条『依頼人との契約は絶対守れ!』。
俺は約束した。『キリカの側にいる』、と。
だから俺は逃げられない。逃げない。
約束したからな。
しかし、だからっといって、ドキドキしないなんてことは出来ず。
この昂った気持ちを鎮めるには……。

「ふはー、キンジ君お待たせ……って、何してんの?」

風呂から上がってきたキリカが不思議そうな顔をして聞いてきた。
そりゃ、風呂から出たら、同じ部屋に虚空見つめながら素数数える奴がいたらビックリするよな?

「いや、突然素数数えたくなっただけだから、気にしないでくれ……」

「あはは! キンジ君って相変わらず面白いね!
やっぱりキンジ君はキンジ君だ
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