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第一章
ロボット選手
阪神タイガーズ、何かと話題になりどんな勝ち方をしてもどんな負け方をしてもそれが絵になり美しいチームがだ。またまた話題を提供してくれた。
何とだ。今度の助っ人は。
「ロボットですわ」
フロント側のその発表を聞いてだ。皆まずはこう思った。
「プロ野球の協定を無視してか」
「というかロボットすら助っ人にしないと優勝できないチームだったんだな」
「やっぱり阪神だよな、そこは」
「今度はそう来たか」
皆呆れながらもだ。何処か納得していた。
これが阪神であった。そしてその阪神の助っ人、ロボットのそれは。
一見すると普通の助っ人である。何故か髭を生やしているのはおそらくかつての助っ人バースを意識してのことであろう。その彼の名前は。
「ランディ=オマリーですわ」
「うわ、まんまやろが」
「バースとオマリー合わせただけやないか」
「もうちょっとひねれや、そこは」
「ほんまや、芸がないのう」
「そこんとこがなあ」
だがそれでもだ。彼等は文句を言いながら納得した。阪神ファン達にとってはどちらも非常に親しめる名前だからだ。それで、である。
彼等はその助っ人の入団を受け入れた。ポジションは外野、レフトになった。一応打撃と肩に重点を置いたというのだ。そうしたロボットの助っ人だった。
そのオマリーはキャンプでだ。早々にこんなことを言うのだった。
「わて、阪神日本一にさせますで」
「ほい来た、猛虎日本一宣言」
「それ実際にできた人間ってバースだけやさかいな」
「まあそれできたらほんまもんやけれどな」
「まず無理や」
皆冷めていた。それは何故か。阪神だからだ。
阪神に絶対という言葉はない。絶対に優勝できる状況からあえなく敗れるのが得意技だ。それこそバースでなければ優勝させられなかったのだ。日本一にだ。
だが彼はだ。堂々と言うのだった。
「わては阪神を勝たせる為に生まれてきたんですから」
「ほなちゃんと打つんやぞ」
「まあ期待せんで待ったるわ」
「精々頑張りや」
ファンはこんな調子だった。こうしてそのロボット助っ人の野球人生がはじまったのであった。すると。
いきなり打った。打って打って打ちまくった。何と打率四割で得点圏打率に至っては五割を超えている。ホームランも四月の時点で何と八本だ。これはかなりのものだった。
「おい、打つやんけあいつ」
「めっちゃくちゃ打ってるで」
「まるでマシーンやな、あいつ」
「アホ、ロボットやロボット」
こんなベタなやり取りまで行われてであった。とにかくだ。
彼は打って打って打ちまくりだ。しかも守備もだ。
足はあまり速くはない。そこに重点を置いて開発製造されたロボットではないのだ。
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