第九話「無慈悲な真実」
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まじい生まれてからの16年を欠片も知らない。知っていたならば、リオンを決して自由にはさせなかっただろう。
実際リオンが彼女たち親子の関係に疑問を持ったのはとても個人的な事からだった。
「母親、か。」
部屋を追い出され、一人シャルティエを引っさげて靴音を立てないように気をつけながらリオンはそう呟いた。
リオンにはその言葉に何の郷愁も感じなかった。リオンは自分の母親の顔を肖像画でしか知らない。
元々リオンの母親であるクリス・カトレットは狂った父ヒューゴから幼い娘を守るために家を飛び出したらしい。その後リオンを生んで、絶命した。何のことはない。リオンは守るべき頭数には入れなかったのだ。
別段その事を彼は恨んでいる様な事はない。肖像画でしか見た事のないような女性を愛する事は勿論、憎しむこともできる筈がない。リオンからしてみたら『母親』とは無関心な物の最たるものだった。何時しか周りが母に似てると囁く女性と左手に握る世界を揺るがす剣の一振りだけが彼にとって孤独をさらけ出せる相手だったのだ。
その大切な女性が幸福になることと彼女への想いを抱き続けるに足る男になること、たったそれだけがリオンの望みだった。それ以外は何も要らなかった。
何を手に入れてもそれは全て父ヒューゴの巨万の財産によって手に入れたものであって、
真実自分の手で手に入れた本当の意味で自分のものなどなにもなかった彼を誰が責める事ができるというのだろう?
何も望まなかった彼に、罪などある筈がないではないか。
そしてその二つのささやかな願いを、どちらかを捨てる事を迫られる残酷な選択を強いられた彼を誰が救う事ができただろうか?
彼の生まれてからの16年とはそう言う物だった。
「なぜだ、プレシア・テスタロッサ。」
自分の人生を振り返りながら、リオンは責めた。
「なぜフェイトを愛せない?」
その言葉には、彼のような熱さはない。
厳然たる事実として、母は娘を守るものじゃないのか。
それとも自分は例外だとでも言うのか?
冗談じゃない。
「坊ちゃん。」
「わかってるさ、シャル。」
だがどれ程シンパシーを感じようと、これはプレシアとフェイトの問題だ。本来ならリオンが首を突っ込むべき話ではない。
それでもリオンは知りたかった。わざわざジュエルシードを忘れて時の庭園にくる回数を増やす位には。
やがてリオンは見取り図に記されていない無い筈の部屋である書庫に辿り着いた。
リオンはその中に吸い込まれるように入っていった。
探して、調べて、探して、調べて、
最後にリオンは一束の資料を見つけた。
その表紙には「プロジェクトF・A・T・E」
そう記されていた。
そして・・・
全く同じ道を歩いて、六日後。
フェイトが今まさにそ
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