第九話「無慈悲な真実」
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「私が...私があの時あんな事をしなければ...リオンさんは...」
「フェイト...」
海上決戦から三日後、その間フェイトは自分の部屋の隅でうずくまっていた。
理由は今彼女が呪文のように唱えた言葉の通りだ。彼女の心は罪悪感で満たされていた。プレシアに獲得したジュエルシード六つを届けるのさえ忘れるほどに。
その六つは今部屋の机の上に並べられていた。キラキラとそれが輝いているのとは対照的にフェイトの心は晴れなかった。
「だ...大丈夫だよ、アイツなら...リオンならきっと自分でどうにかしてまたここに戻って来るって!」
一つ断っておくが決してアルフは無神経な人間ではない。そして海上決戦の前はリオンの評価は『プレシアよりマシ』だったのが今は『ちゃんと信用できる仲間』に変わっている。それでもフェイトより彼が管理局に捕まえられる原因を...禁断の言葉を吐いたアルフがそう言っているのはフェイトに、そして聞こえないだろうがリオンにも謝り通した果てなのだ。もしそうでなければ...きっと彼女はただ「気にしなくて良いよ」としか言わなかっただろう。だがそれでもフェイトが塞ぎこんでいるのは意識を失った彼が海へ落ちていく様子がシビアだったからに他ならない。
フェイトだって頭ではわかっているのだ。リオンの実力は勿論、そして皮肉な事だがあの状況では管理局が彼の命を救うのは間違いないことも。そして生きてさえいれば間違いなくまた会えるだろうとも。
だがたかがそんな事を理由にして自分を許せるような尻軽女などではこの少女は無かった。
窓を見るとそんな彼女の心を代弁するかのようにしとしとと雨が降っていた。ただそれを無感動に彼女は見つめていた。
そんな主を見かねてなのだろうか、バルディッシュが「サー」と言った。
「…なに?バルディッシュ。」
「実は彼から二つ程、『伝言』を預かってるんです。」
ピシャンと言う音をたてて雷鳴が鳴り響いた。小雨だと思っていたのがいつの間にか雷雨に変わっていたらしい。じっと見ていた筈なのに...そう考えて自分がどれだけぼんやりとしていたのか気がついた。
「伝言…リオンさんからの?」
「ええ、聞きますか?」
うん、と頷いた。だがバルディッシュはそれにたいして強い口調で「でしたらそろそろいい加減にそのふてくされた態度を止めてください。」と言った。アルフは驚いた、彼がこんな口調になったのを聞いた事が無かった。勿論主に対してそんな責める所も見たことが無かった。どちらかと言えばバルディッシュはリオンのシャルティエのようにお喋りで主と友達で信頼しあうと言うようなスタンスではなく一歩引いて影ながら主を支えると言うのがバルディッシュにアルフが持っていたイメージだった。なので「バルディッシュ、アンタなにを!」と思
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