探索開始〜
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
俺達はロープを回収してから外に出る。
「すまない、さっきの一件を最初から見てた人、いたら話を聞かせてほしい!」
キリトが大きな声で呼び掛けると、しばらくして一人の女性が人混みから姿を現す。装備からしてここには観光目的で来たプレイヤーだろう。真っ黒な俺達が怖いのか、少々怯えている女性にアスナが話しかける。
「ごめんね、怖い思いをしたばっかりなのに。あなた、お名前は?」
「あ・・・あの、私、ヨルコって言います」
この声の感じ・・・
「もしかして、さっきの悲鳴もアンタが?」
「は・・・はい」
軽くウェーブしている濃紺の髪・・・言い忘れたが、この世界では髪型と髪色なら自由に変えられる。俺も少し弄っているのだが・・・まあいいか。とにかくヨルコというプレイヤーは頷く。
「私・・・私、さっき・・・殺された人と、友達だったんです。今日は、一緒にご飯食べにきて、でもこの広場ではぐれちゃって・・・それで・・・そしたら・・・」
取りあえず教会の中に移動し、ヨルコさんを座らせる。
「・・・すみません・・・」
「ううん、いいの。いつまでも待つから、落ち着いたらゆっくり話して、ね?」
「はい・・・も・・・もう大丈夫、ですから」
・・・割りと気丈なのか、ヨルコさんは顔を上げて話し出す。
「あの人・・・名前はカインズっていいます。昔、同じギルドにいたことがあって・・・今でも、たまにパーティー組んだり、食事したりしてたんですけど・・・それで今日も、この街まで晩御飯食べにきて・・・」
一度目を閉じ、震えの残る声で話を続ける。
「・・・でも、あんまり人が多くて、広場で見失っちゃって・・・周りを見渡してたら、いきなり、この教会の窓から、人・・・カインズが落ちてきて、宙吊りに・・・しかも胸に、槍が・・・」
「その時、誰かを見なかった」
アスナの問いかけに一度ヨルコさんは黙り込む・・・そしてゆっくりと頷いた。
「(・・・?)」
「はい・・・一瞬、なんですが、カインズの後ろに誰か立ってたような気が・・・しました」
「その人影に見覚えはあった?」
「・・・」
ヨルコさんは何かを考えるかのように唇を引き結ぶ。・・・さて、やりますか・・・
「案外、その人影ってのはアンタかもな」
「え・・・!?」
ヨルコさんの目が見開かれる。
「同じ元ギルドメンバーだったら腕試しだのなんだので一番細工しやすいし・・・何より第一発見者ってなあ・・・」
「そ、そんな・・・」
「おい、サキ!」
キリトが詰め寄ってくるが・・・続ける。
「そうだなあ・・・“元”ギルメンってことは、身内の揉め事でもあったか?その際の何かの出来事で・・・」
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ