暁 〜小説投稿サイト〜
真似と開閉と世界旅行
探索開始〜
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俺達はロープを回収してから外に出る。

「すまない、さっきの一件を最初から見てた人、いたら話を聞かせてほしい!」

キリトが大きな声で呼び掛けると、しばらくして一人の女性が人混みから姿を現す。装備からしてここには観光目的で来たプレイヤーだろう。真っ黒な俺達が怖いのか、少々怯えている女性にアスナが話しかける。

「ごめんね、怖い思いをしたばっかりなのに。あなた、お名前は?」

「あ・・・あの、私、ヨルコって言います」

この声の感じ・・・

「もしかして、さっきの悲鳴もアンタが?」

「は・・・はい」

軽くウェーブしている濃紺の髪・・・言い忘れたが、この世界では髪型と髪色なら自由に変えられる。俺も少し弄っているのだが・・・まあいいか。とにかくヨルコというプレイヤーは頷く。

「私・・・私、さっき・・・殺された人と、友達だったんです。今日は、一緒にご飯食べにきて、でもこの広場ではぐれちゃって・・・それで・・・そしたら・・・」

取りあえず教会の中に移動し、ヨルコさんを座らせる。

「・・・すみません・・・」

「ううん、いいの。いつまでも待つから、落ち着いたらゆっくり話して、ね?」

「はい・・・も・・・もう大丈夫、ですから」

・・・割りと気丈なのか、ヨルコさんは顔を上げて話し出す。

「あの人・・・名前はカインズっていいます。昔、同じギルドにいたことがあって・・・今でも、たまにパーティー組んだり、食事したりしてたんですけど・・・それで今日も、この街まで晩御飯食べにきて・・・」

一度目を閉じ、震えの残る声で話を続ける。

「・・・でも、あんまり人が多くて、広場で見失っちゃって・・・周りを見渡してたら、いきなり、この教会の窓から、人・・・カインズが落ちてきて、宙吊りに・・・しかも胸に、槍が・・・」

「その時、誰かを見なかった」

アスナの問いかけに一度ヨルコさんは黙り込む・・・そしてゆっくりと頷いた。

「(・・・?)」

「はい・・・一瞬、なんですが、カインズの後ろに誰か立ってたような気が・・・しました」

「その人影に見覚えはあった?」

「・・・」

ヨルコさんは何かを考えるかのように唇を引き結ぶ。・・・さて、やりますか・・・


「案外、その人影ってのはアンタかもな」

「え・・・!?」

ヨルコさんの目が見開かれる。

「同じ元ギルドメンバーだったら腕試しだのなんだので一番細工しやすいし・・・何より第一発見者ってなあ・・・」

「そ、そんな・・・」

「おい、サキ!」

キリトが詰め寄ってくるが・・・続ける。

「そうだなあ・・・“元”ギルメンってことは、身内の揉め事でもあったか?その際の何かの出来事で・・・」


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