アインクラッド編
異世界との出会い
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
って動きがパターン化されても、同じ行動を何度も繰り返す。
それだけだが、アスカにとってはかつてないほどに楽しい時間だった。
最近感じていたストレスのせいか、ゲームの中で仮想の敵を倒すことで気分が爽快になっていく。
気づかない間にアスカは三時間も、自分のHPバーの減り具合や武器の耐久値の確認もせずモンスターを狩り続けた。
パッパカパーン!!
モンスターを狩り続けていたアスカの耳に、急に大音量の音が流れ込んでくる。
三時間の狩りによってアスカのレベルが2に上がったことを知らせるフィナーレ音と共にウインドウが現れて、レベルアップボーナスによるポイントを筋力値か敏捷値に振り分けるように指示される。
よく分からなかったが、スピードを上げたいのなら敏捷値を上げるべきだろうと考え、アスカはポイントを全て敏捷値に割り振る。
その作業をやり終えた時にようやくアスカは我に返り、大急ぎで現時刻を確認した。
夢中になってモンスターを狩り続けていたため、一体何時間ほど経っているのか見当も付かなくなってしまった。
ウインドウを慣れない手つきで操作して時刻を確認すると、まだ夕方の5時。
6時を過ぎているような最悪の事態は免れたので、ほっと息をはく。
母親が帰ってくる前にゲームをログアウトして、浩一郎の部屋にナーブギアを返しておきたかったアスカは、袖が引かれる思いを感じながらも、ログアウトをしようとした。
三時間の戦闘により刃こぼれしている剣のことは放っておき、アイテムストレージにパンパンになるほど詰め込まれているアイテムは無断でゲームを借りた浩一郎へのプレゼントにしよう、と考え、それも放置。
右手を振り下ろし、再度ウインドウを操作する。
出てきたメニュータブの一番下にあるログアウトボタンを押そうとした。
しかし、そこでアスカの手はピクリと止まる。
「・・・・ん?」
ない。
ログアウトボタンが。
説明書に書いてあったメニュータブの一番下は空白となっていた。
「・・・なんでだ・・・」
アスカはボタンがないことに焦りを覚える。
アスカは今、ログアウト出来ないことはゲーム運営側から見て不自然であることまでは理解していない。
しかし、アスカにとって何故ログアウト出来ないかは問題ではなかった。
問題は早急にログアウトする方法が無いことである。
説明書にはログアウトボタンを押す方法以外に現実世界へと帰還する方法は明記されていなかった。
さらに自分の手で頭からナーブギアを外して強制ログアウトしたくても、ナーブギアは脳からせき髄へ伝わり体を動かす命令信号を完全にキャンセルして、代わりにこちらの世界の体を動かす信号へと変えている。
つまり自分の手でコンセントを抜いたり、ナーブギアを頭から引っぺがすことは出来ない。
アス
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ