第二十九話 思わぬ再会
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した。アニエスの事、宜しくお願いします」
「ああ」
「アニエスが本懐を遂げましたら、後はあの子の好きなようにさせては頂けませんでしょうか?」
「ん、いいだろう、仕官でも婿探しでも、彼女の望みは叶えよう」
「ありがとうございます。世間一般ではわが子が復讐に燃えているのなら止めてやるのが筋でしょうが、私は背中を押してやる事を決めました、罰を受けるのならば家族一緒に受けます。どの様な結末になってもあの子は私達夫婦の娘ですから」
「君たち親子が、和解する事を祈っているよ」
話も終わり、席を立とうとすると。
「……あの殿下、一つお聞きしてよろしいでしょうか?」
ミランは質問を求めてきた。
「ああいいよ」
「前々から疑問に思っていたのですが、殿下はアニエスの事を知っておられるのですか?」
「ん? ああ……知ってるよ。ちょっと市内を探索していた時に、ね」
「そうでございましたか」
「アニエスは友達さ、だから何とかしてやりたいと思っている。浪花節で政治をするのは危険だがね」
「ナニワブシ?」
「ああ、こっちの話」
☆ ☆ ☆
夜は深まり新宮殿を始めトリスタニアの殆どの者が寝静まっていた。
マクシミリアンの自室では、遊びと勉強に来ていたアンリエッタが、くーくーと寝息を立てていた。
マクシミリアン本人はというと、バルコニーに出て『Marines' Hymn(アメリカ海兵隊賛歌)』を鼻歌で歌い、片手にワイングラスを持ワインを楽しんでいた。昼間に散々飲んだのにまだ飲み足りなかった。
マクシミリアンは、ほろ酔い気分で歌を歌い夜風に涼んでいると、バルコニーの下の方から何かが落ちる音を聞いた。
下の方を覗いてみると、何か黒い影が走って遠ざかっているのが見えた。
マクシミリアンは、『ライト』を唱えたが、四階建ての高さからでは光は地上まで届かない。
次にマクシミリアンは、『目からサーチライト』を発した。
『目からサーチライト』とは『目から破壊光線』の応用で、その名のごとく目からサーチライトを出す事ができて、目にも優しい為、ちょっとした明かりが欲しい時など大変便利だった。
走り去る影にサーチライトを当てると、そこの居たのはアニエスだった。
「あの馬鹿!」
捕まって早々に逃げだしたアニエスに、マクシミリアンは呆れた。
マクシミリアンは杖を出して、走るアニエスに対し『レビテーション』を唱えると、アニエスは走った状態で足をバタバタさせながら浮かんだ。
「離せ! 離せ!」
アニエスはマクシミリアンの居る
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