暁 〜小説投稿サイト〜
剣士さんとドラクエ[
93話 雷鳴
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 トウカを食った、ドルマゲス「だったもの」はブクブクと膨らみ、濃いピンク色の姿からだんだん人間に近い形になっていく。トウカは、悲鳴すらあげることが出来なかったみたいだ。とはいえ、すぐ隣に立っていたトウカがカッ攫われるのを、僕は……食われてからしか気づけなかった。

 僕の頭が、気が狂わんばかりの混乱を通り越して……氷のように冷静なのが逆に気持ち悪い。親友が、あんな目に遭ったっていうのに、冷静で、あまりにも冷静すぎて、ゼシカがルカニを唱えようとしたのを抑えれたぐらいだ。

 「それ」にルカニが効いたとしても、トウカにも効いてしまうだろうから、ほぼ確実に、しかも増幅して。そうしたら……最悪、トウカが噛み砕かれてしまうかもしれないと、瞬時に察せた。

 「それ」はヒトの二倍ほどの背の、ヒトに近い姿の、ピンク色の肉塊に変わっていく。でもすぐにヒトっぽい姿を保てずに崩れていき、最初の姿に戻った。……本格的によく分からないものになったんだね。彼は「悲しいなぁ」とかいろいろ喋っていたから自我はもちろんあっただろうに、もう、戻れない。

 何が彼を変えたんだろう。何が彼の道を踏み外させたんだろう。ドルマゲスは元々人間じゃなかったのかもしれない。

 それにしても……トウカは大丈夫なんだろうか。普通に考えたらちっとも大丈夫じゃないけど……。でもね、この化け物の腹から何度も何度も剣が貫通して飛び出してるし、時折見慣れた手袋の手が引き裂くように肉を破るから、ほっといても良さそうに見え……。

 ってそんな訳ない。混乱しすぎ、動揺しすぎだよ僕。流石にトウカでも無事じゃないでしょ、怪我したかもしれないし、怖いだろう。

 ……今すっかり忘れてたけどトウカ、同い年の女の子だし。僕よりよっぽど勇敢だけど。ていうか現在進行形で勇ましい声とともに「腹」をブチブチちぎってるけど、まぁ、女の子だし!たとえ僕が一度も腕相撲や手合わせ、それから近衛になる時に受けた教養のペーパーテスト、足の速さ、男前さに勝ててなくてもね!

 トウカの拳が「腹」を突き破る事に無理やり中に押し留められている。まぁ、負わせた傷は治ってないみたいだし……外からも内からも攻撃したら助けられるんじゃないかな。

 正直、助けようとして下手に近寄りすぎると引きちぎる為のブオンブオンと振られる大剣の餌食になりそうなんだけどね……。

「ククール、『あれ』にマホトラが効くか試してみて。効いたら魔法が使えないように吸い取りと回復の交互。出来なかったら回復に専念して。ゼシカは皆の補助をお願い。ヤンガスは僕と一緒にトウカの救助、そして攻撃。行くよ!」

 ブンブンと腕だったものが振られ、近くの地面が大きく抉り取られるのを横目に、僕はトウカがぶん投げてドルマ
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