第15話『休日』
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な気もないので軽くあしらう。今さら妹と一緒にお風呂に入るなんて、恥ずかしいことこの上ない。
「お兄ちゃんのケチ」
「いやケチじゃないだろ」
「いいじゃんいいじゃん」
「いや、ダメだ」
中々引き下がらない智乃。
好かれているというのはとても嬉しいのだが、これでは…な。
「一緒には入らない。先に入るか後に入るか、どっちか選んでくれ」
「ぶぅ・・・じゃあ後で」
「了解」
智乃は不満顔だが、これでいいのだ。うん。
*
「やっぱり風呂は落ち着くな〜」
湯船に浸かりながら、陽気にも鼻唄を歌う俺。日本人は入浴が好きというが、その気持ちはよくわかる。一日の疲れが一気に取れていく気分だ──
「お兄ちゃん!」
「うわぁお!?」
突然、タオルを身にまとった智乃が乱入してくる。これは予想していなかった。なるほど。先に俺を入れたのはそういうためか。
どうしたものか。追い出す・・・は、さすがに可哀想だろうか。かといってこのまま一緒に入るのも──
「では失礼」
考えている間に入りやがった。俺の膝の間に入り込み、背中を預けてくる。妹とはいえ、やっぱり恥ずかしい。早くここから脱出しないと。
「あー逆上せたかも。そろそろあが──」
「どこ行くのお兄ちゃん?」
手を…掴まれた。
なぜだ。なぜそこまでして俺と風呂に入りたがる? なぜそんな寂しそうな目で俺を見る?
もうダメだ。諦めろという神のお告げが聴こえた気がした。俺の敗けだ。
その後、普通に2人で入った。
*
時刻は午後9時。
こんな時間になっても帰ってこないウチの親。どうなっていやがる。帰りを待とうと、テレビを見て時間を潰しているというのに。
「ふわぁ。そろそろ寝るねお兄ちゃん」
「あぁ、おやすみ」
欠伸をしながらそう言う智乃。そして二階へ上がっていった。
さっきの風呂といい、また何か仕掛けてくると踏んでいたが、杞憂だったようだ。
「俺も寝るか」
テレビの前から立ち上がり、自分の部屋へと戻ることにした。もう母さん達は今日帰ってこないだろう。実際、そういうことは今までにもあった。だから言い切れる。
階段を上がり、ドアノブに手を掛ける俺。
油断は…しまくっていた。
「……」
「ぐぅ」
コイツ…やりおった。まさかの俺のベッドに…。
どうせまた選択肢はないんだろう。わかっている。
ったく、一緒に寝てやるか。兄妹だしな。
「もうちょい端っこで寝ろよな…」
智乃を奥の方へ軽く追いやりながらベッドに入る俺。…温かいな。当たり
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