暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第18話 夕暮れの死闘
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、技後硬直から解けた身体を動かしてカタナを構え直す。
 ――さて、次は僕の番、か……。
 どうにかして僕もこの場から離脱したいけど、正直厳しい。転移結晶を使えればいいのだが、あれは転移するまで一、二秒時間を要する。それだけあれば、相手が僕を斬る方が早いに決まっている。
 となると、やはり逃げるんじゃなく、何とかして拘束する方が得策だ。あれだけ強いとなかなかそれも難しそうだが、やらなければこちらが殺られる。最悪、隙を作って転移すればいいし。
「っと……??」
 そこまで考えたところで、斬り降ろされた片手剣をカタナで受け止める。一歩踏み込み、タックルをかますようにして弾き返す。これだけ間近に接近しているというのに、顔が見えない。どれだけ深く被っているというのか。よく僕がわかるな。
 今度は僕が攻める番だった。また連撃され続けたらたまったものじゃない。されないためには僕から積極的に押していくしかない。
 脊髄反射的にそう考えたあと、僕は強く地面を蹴り、カタナを振り被った。

   *

「はあっ……はあっ……!」
 いったいどれだけ走ったことだろう。
 ソラは息を切らし、必死に木々の中を走っていた。
 一緒にいたユウから一人だけ逃れるようにして、彼に背を向けたことにソラの胸を刺されたような痛みを感じる。それは一分一秒と時間が経てば経つほど大きくなっていった。
 本当の気持ちを言えば、一緒に闘いたい――でも、無理だった。
 あれだけハイレベルな戦闘は、自分には無理だとすぐに判ってしまったのだ。レベルだけではない、ひとつひとつの動作や次の行動へ移す迅速さ、そして勝つための戦略。それら全てが言葉には表せなくとも、ソラは感覚的に理解したのだ。自分にはできない、と。
「ごめん、ごめんなさい……ユウ兄ちゃん!」
 零れ出るのは、謝罪の言葉。大きな両目からは涙がとめどなく溢れてくる。
 途方もない罪悪感がソラの心を満たしていた。まだ二桁に突入したばかりの年月しか生きていない彼からしたら、それはあまりにも強烈で巨大すぎる感情だった。
 心が壊れるような感覚をしながらも、ソラは走る足を止めない。ユウから言われたから、罪悪感を紛らわせるからというのもあるが、もう一つ彼の心を支配している感情がある。
 それは《恐怖》である。
 自分よりも身長の高く、自分よりも圧倒的に強いプレイヤー。何よりフードを被っていたことにより、顔が――表情が見えないし、感情が読めない。
 それらの要素は、まだ齢十歳のソラにとって恐怖を与えるのには十分過ぎた。はじめて見たとき、そしてユウに剣を向けたときにソラに一気に襲ってきた――自分に剣を突きつけられたわけではないのに。
 ユウに言葉をかけられたことで、ようやく動けるようになったほどなのだ。それから、ソラはユウの言
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