暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第18話 夕暮れの死闘
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 ギャリィイ! と硬質な音がし、空気が、カタナを持つ手がビリビリと振動する。相手が間髪入れずに第二撃を繰り出す。僕もそれに対抗する。同じ音がもう一度鳴り、鍔迫り合いの形になった。
 全力で力をカタナに入れているのに、まったく前に動こうとしない――筋力値は同等以上ということか……。少しでも気を抜いたら、逆にこっちが負ける確信があった。
「…………ふざけたことを、言うな……!」
 怒気がふんだんに含まれた絞り出すような声が眼前で聞こえる。低く、そして威圧のあるトーンに思わず背筋にぞくり、と来るものを感じつつ、力が抜けかけた両手に力を入れ直す。カチャ、カチャ、とお互いの武器の重なり合った部分で音が鳴る。
「ふ、ふざけたこと……?」
 思わず声が少しだけ震えながら聞き返してしまう。その言葉を聞いて、わずかに……しかし確かに僕にかかっている力が増した。数センチほど後ろに押し込まれる。負けじと押し返そうとするが、やはり前に動かない。さっきの状態に戻せない。
 僕の疑問には、もう答えてくれるつもりはないらしく、剣にさらに力を加えるだけだった。僕はカタナを倒して相手の片手剣の軌道をズラし、ようやく鍔迫り合いから解放される。
 カタナを相手に向けて牽制しながら、僕の後ろにちらり、と視線を移す。そこには、呆然と立ち尽くしているソラがいる。
 ソラだけは何とかして逃がさなければいけない。もし、僕からソラにターゲットが移ってしまったら、絶対に守り切れない。モンスターと違ってプレイヤーには意志があるのだ。どれだけ僕が妨害しようとも、その気があれば相手は僕のことなど気にせずソラを襲うだろう。
 視線をソラに移した直後、視界の端で片手剣の切っ先が迫っているのが見えた。反射的に頭を左に大きく傾ける。
「ぐっ……??」
 躱し切れず、?に紅い線が走った。左上に浮かんでいるHPゲージがわずかに減った。同時に視界に映る相手のカーソルが緑からオレンジに変色する――犯罪を犯したプレイヤーへと変貌する。
「くそぉお……!」
 毒づきながら、僕の隣にある剣を握っている手首を右手でしっかりと掴む。相手は一瞬戸惑ったような素振りを見せ、解こうと強引に引き抜こうとするが、そう簡単に逃すわけにはいかない。両足の膝を曲げ、その場で踏ん張る。
「ソラ! 今の内に!」
 僕の意図を察してくれたようで、僕の後ろで慌ただしく足音が小さくなっていく。
 内心安堵し、僕は左手にあるカタナを腰だめに構えた。
 次の瞬間には、相手の腹を水平に斬っていた。その威力で吹き飛ぶタイミングと一緒に右手を開く。アスナのときと同様峰打ちのため、相手へのダメージは期待できないが――むしろ、与えすぎないようにしたのだが――初撃のインパクトととしては十分だろう。
 数メートル飛んでいった片手剣使いを見続けながら
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